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シリコンバレー銀行破綻でドル円急落…「金利」と市場反応を味方に付ける投資術〜ゼロから始めるFX(2)=安恒理

ドル円相場の上下幅が大きくなっていることから、にわかにFX投資が注目されています。直近でも米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻を受けて、ドル円が大きく動きました。そもそもなぜ為替レートは動くのか?その原因の1つに、各国の金利政策があります。まさにSVB破綻が米国の利上げの行方に影を落とす可能性が出たことから、為替相場が敏感に反応したのです。知っているようで知らないFXのイロハについて解説する連載の第2回目として、この「金利」についてお伝えします。(『 安恒理の「ここでしか書かない話」~メディアの裏を読む~ 安恒理の「ここでしか書かない話」~メディアの裏を読む~ 』安恒理)

【関連】なぜ今「FX投資」に脚光?ドル円の歴史的変動を味方に付ける投資術〜ゼロから始めるFX(1)=安恒理

プロフィール:安恒 理(やすつね おさむ)
福岡県生まれ。男性向け総合雑誌の編集を勤めた後、ライターとして独立。15年にわたる編集、記者として数多くのビジネスマン、経営者を取材した経験をもとに、ビジネス、金融・投資、趣味のサブカル系を中心に執筆を続ける。平成18年「現代ビジネス兵法研究会」設立に参画、「ビジネスの成功法則」の研究を続ける。主な著書に『孫子の兵法のことがマンガで3時間でマスターできる本』(明日香出版)『論語のことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版)『なるほど!孫子の兵法がイチからわかる本』(すばる舎)『フェイスブック・ツイッター時代に使いたくなる「孫子の兵法」』(文芸社)『いちばんカンタン! 株の超入門書』(高橋書店)など。

なぜ為替は動く?

為替レートとは、異なる2国家の通貨の交換比率を指します。この比率は絶えず変動します。経済状況によって通貨の価値が上がったり下がったりするのが為替。

FXは、主にこの為替の動きを読んで利益を上げる投資です。

たとえば1ドル=130円で米ドルを買ったあと、140円になったところで売却すれば10円の利益になります。逆に1ドル=120円になったところで売却すれば10円の差損となります。

そのため為替の動きを的確に予測する必要があります。

為替が動く理由をもう少し具体的に述べると、景気が良く国力が強くなるとその国の通貨は価値が上がります。景気が良くなれば、その国に投資しよう、その国でビジネスを行なおうという機運が盛り上がります。そうなればその国の通貨が必要となってきます。

商品の価格が決まるのは需給のバランス。通貨の価格も例外ではなく「この通貨が欲しい」という人が増えれば、その通貨の価格は上昇します。

景気が悪くなったり、国力が落ちたり、あるいは戦争・国際紛争に巻き込まれたりしたら、誰もが、そのような国家の通貨は手放したくなるものです。

金利の上げ下げがどう影響するか

経済政策で大きなウエイトを占めるのが金利政策。各国の中央銀行(日本なら日本銀行、アメリカならFRB)が金利の上げ下げを決定します。

好景気が続くと消費や投資に過熱感が出てきます。そうなるとインフレへの警戒感が生じます。そこで各国中央銀行がインフレ対策として採る経済政策が金利の引き上げ。金利が引き上げられれば、高金利の資金を借りて投資しようという動きが減速、そのため市中に出回るお金の量が減るためインフレ懸念が払しょくされます。

一方、金利が上昇すると海外から資金が流入します。とりわけ低金利の国から金利の高い国へ預金すれば、より多くの利息がつくということで魅力的な投資先に見えます。高金利の国に資金が流入すれば、その国の通貨は上昇します。

好景気はいつまでも続くわけではありません。必ず景気後退局面は訪れます。そのとき今度は金利が引き下げられます。金利が引き下げられることによって、たとえば企業が設備投資を行なうときに銀行からの融資を受けやすくして市中に出回るお金の量を増やすようになります。

流通するお金の量が増えれば、需要と供給のバランスから貨幣の価値は下がりやすくなります。

日本は2013年に日銀総裁に就任した黒田東彦総裁のもと「量的・質的金融緩和」(異次元緩和)政策が採られました。その後、2016年にはそれまでのゼロ金利政策からマイナス金利政策に転換され、市中にお金が大量に出回ることになります。いわゆる「黒田バズーカ」です。

黒田新総裁誕生前は1ドル=80円を割っていた円高は、その後、急速に修正されていきます。

2021年年央から今度はアメリカの利上げが意識されるようになり、日米の金利差が為替市場に影響を与えはじめ、そこからまた円安・ドル高が示現します。

直近では3月9日にカナダの中央銀行が政策金利を4・5%に据え置いて利上げを休止するとした。主要国中銀に先駆けての利上げ急死宣言に為替市場は敏感に反応。

対円でもカナダドル安となりました。

日本では3月10日、日銀の新しい総裁に植野和男氏の就任を同意。合わせて黒田総裁のもとでの最後の金融政策決定会合が開かれました。そして大規模な金融緩和の維持が決められたのです。

これを受けて為替市場では対米ドルで1円以上も円安が進行する事態となりました。

異常な低金利政策で通貨が暴落

参考までにリスクが大きいとされる新興国の通貨に触れておきましょう。

トルコリラです。

新興国通貨で高金利通貨の代表でした。いわゆる利息取り(スワップポイント投資 ※後日解説)の対象通貨でした。

2007年には1トルコリラが日本円で100円近くまでありましたが、現在ではなんと7円台!10分の1以下まで下がってきているのです。

途中、アメリカによる経済指標の影響もありましたが、トルコリラの通貨安は金融政策にありました。

トルコでは、異常なまでのインフレが勃発。通常なら金利引き上げを行なうところですが、トルコの金融当局は逆に引き下げを断行しているのです。

とくに2021年には秋から年末にかけて4回の利下げを行ない、世界の金融関係者を唖然とさせました。

これはエルドアン大統領の強い意向が働いているといいます。エルドアン大統領が中央銀行のクビをすげ替えてでも金利引き下げを断行したのには、トルコ中央部の開発に力を入れたいという意思が働いているといいますが、建設業界との黒い癒着も噂されています。

トルコ大地震で明らかになりましたが、トルコのビルの多くが違法建築で賄賂を渡せば、その違法建築を当局が見逃してくれるという呆れた実態が明るみに出ました。

このたびのトルコ大地震で、政府に対する風当たりが強くなっていますが、エルドアン大統領が強権政治をどこまで維持できるか。

この異常なまでの金融政策が転換するか、エルドアン大統領が退陣するか(トルコの大統領選挙は5月)、目を離せません。

もし金融政策に変更が起これば、これまで右肩下がりを続けたトルコリラが、これまでとはまったく逆の動きを示すかもしれないのです。

そうなればビッグチャンスとなるでしょう。

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image by: URem / Shutterstock.com

本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2023年3月13日)※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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雑誌編集者、ライターとしてマスコミの世界に在籍した筆者が日々感じていること、筆者自身でしか知りえないあらゆる世界の裏側などんいついて書き連ねていきます。

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