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政府の“2024年問題”対策、“送料無料”表示見直しに「消費者バカにしすぎ」との声。普及を目指す宅配ボックスも“丸ごと盗難事件”が続発中

トラック運転手の残業規制強化で、物流業界の人手不足が予想される「2024年問題」に対応する政府の政策パッケージ案が明らかになり、その内容に様々な反応が飛び交っているようだ。

報道によれば政策パッケージ案には、運送業者が適正な運賃を受け取れない要因に「送料無料」の表示があるとして、その見直しに取り組むと明記。

また、運送業者の負担を軽減する仕組みの法整備なども進め、運転手に負担となる荷物の再配達率の半減を目指すとしているという。

宅配便の再配達率“半減”を目指すも…

いわゆる働き方改革関連法によって、2024年4月1日からトラックドライバーの時間外労働時間が、現状の上限年間1176時間から960時間に制限されることから、「会社の売上・利益減少」や「トラックドライバーの収入減少・離職」、「荷主側における運賃上昇」といった諸問題が生じる可能性があるとされる、運送・物流業界の2024年問題。

そんな2024年問題に対応するため、今回政府がまとめた政策パッケージなのだが、「荷主・物流事業者・消費者が一体となり物流を支えることが不可欠だ」と岸田首相も発言している通り、その話は宅配ボックスの普及や送料無料表示の見直しといった、一般消費者にも関わりの深いところにまで及んでいる。

それらのなかでも宅配ボックスの普及は、主に宅配業界において、ドライバーの手間がかかりCO2排出量の増加にも繋がるとして、非常に問題視されている「再配達」を減らしたいという意図のもの。

ちなみに昨年、国土交通省が行った調査によれば、宅配便の再配達率は約11.8%にものぼったということで、これを来年度には“半減”させたいというのが、政府が掲げる目標のようである。

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最近では一人暮らしや共働きなどで家を留守にすることの多い層を中心に、玄関先に設置するケースが増えているという宅配ボックスだが、集合住宅や賃貸住宅などに向けた、工事不要で簡単に設置できるタイプもあるということ。しかしいっぽうでは、それを狙った窃盗事件が最近多いとも、大いに取沙汰されているところ。

実際に被害に遭った人の話によれば、宅配ボックスを丸ごと盗まれるという事案が増えているようで、玄関先の柱などにワイヤーで繋いでいる程度の固定方法だと、簡単に切られて持ち去られてしまうという、かなりワイルドな手口が目立つとのこと。

再配達率低下に向けて欠かせないものと政府が期待する宅配ボックスの存在だが、こういう“丸ごと盗難”といった事案がより増えることとなると、その普及もおぼつかないのではと心配になるところである。

高速道路でのトラック最高速度引き上げには「本末転倒」との声が

さらに今回の政策パッケージのなかでも何かと物議を醸す格好となっているのが、“送料無料”表示の見直し。

ネット通販に限らず、テレビショッピングなどでもよく見かける“送料無料”との謳い文句なのだが、運送業者側はこの表示が存在することにより「『荷物をただで運んでいる』と消費者が誤解する」と主張しているとのこと。

現に、お客様都合での返品や受け取り拒否の際に、往復の送料を差し引いて返金するといった処理をしようとしたところ、「送料無料なのになぜ送料を引かれるのか?」とクレームを入れる人間は多いとのことで、そういった“曲解”をする向きは実際に存在する模様。

とはいえ荷物を運ぶのに際してコストが全く発生しないなどとは、マトモな人間なら考えもつかないわけで、そういった意味でも“あまりにも消費者をバカにしすぎている”と、大いに反感を買う格好となっているようだ。

https://twitter.com/ib_kiri/status/1664268117277839365

この他にも今回の政策パッケージでは、高速道路でのトラック最高速度を引き上げるといったプランもあがっているのだが、これに関してはドライバーも加入する労働組合から「安全に働けるようにするための施策であるはずなのに、本末転倒だ」との、否定的なが早くもあがっているところ。

他業界と比べ5年間の猶予期間が設けられる格好となっていた、運送・物流業界における時間外労働時間の制限だが、その猶予も残り1年をすでに切っている状況。そんななか、遅ればせながら政府が提示した今回の対応策も、多くの懸念点や否定的見解が浮上するという先行き不安なものとなっているようだ。

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