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熱中症死亡者“半減”へ。政府が適切なエアコン利用の周知など対策強化を決めるも国民からは「まずは電気代高騰をなんとかしろ」の大合唱

毎年、多くの死亡者が出る熱中症。その数を2030年までに半減させることを目標にした「熱中症対策実行計画」を政府がぶち上げたことが、大きな反響を呼んでいる。

報道によれば、この「熱中症対策実行計画」では、現在5年ごと平均で年間1,000人を上回っている熱中症による死亡者数を、2030年までに半減させることを目標にしているといい、各省庁が今後5年間に取り組む具体的な実行計画を30日、閣議決定したという。

具体的には、高齢者への対策として適切なエアコン利用の周知徹底、福祉関係の団体などに見守りの協力を求めるとのこと。また教育現場などでは、教室や体育館へのエアコンの設置の支援、幼稚園などの送迎用バスでの車内への置き去り防止に取り組むという。

エアコン利用を勧めつつ、6月からは電気代値上げへ

消防庁が公表したデータによれば、昨年2022年の5月~9月の間に全国で熱中症によって救急搬送された人の累計は7万1,029人で、一昨年の同時期と比べて2万3,152人も増加。2008年の調査開始以降では、3番目に多い搬送人員だったという。

また救急搬送された人の年齢区分別では、やはり満65歳以上の「高齢者」が最も多いようで、全体の54.5%を占めるとのこと。さらに発生場所では、「道路」や「公衆(屋外)」といった野外の各所をおさえて「住居」が全体の39.5%と、最も多い結果となっている。

この熱中症による被害を、国家的課題だと捉え、その対策に省庁横断で取り組むというのが今回の話なのだが、その具体例として挙がっている内容が、教室や体育館へのエアコンの設置の支援などはともかく、最も熱中症に倒れる方が多い高齢者向けの施策が、適切なエアコン利用の周知徹底という、なんとも“弱い”内容であることに失望する声が広がっているところ。

高齢者といえば、なぜかエアコンの利用を嫌がることが多いといった話が度々話題になるが、その理由としては、総じて体が冷えることを好まない人が多いから、あるいは老化により皮膚の暑さを感じるセンサーの働きが鈍くなっている、などの説があがる。

しかし、そのいっぽうでは、行き過ぎた“節電志向”も高齢者のエアコン控えを招いているとされ、さらに近年では電気代の高騰もあって、その傾向に拍車をかけているとの見方も大いに取沙汰されているところである。

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そんな電気代といえばつい先日、北海道・東北・東京・北陸・中国・四国・沖縄電力の7社における電気料金を、来る6月から値上げすることを政府が認めたばかり。

標準的な家庭の電気料金の上げ幅は、平均で15.9~39.7%になるとされ、これから暑い夏を迎えるタイミングでの値上げとなり、家計へのダメージも心配されるいっぽうで、先述の通り“エアコン控え”も加速しかねないといった状況だ。

高騰する電気代への対策に関しては、熱中症の防止にも直結するとの見方もあるなかで、今回の「熱中症対策実行計画」ではまったく話にもあがらず。それだけにSNS上からは「電気料金の値上げを了承してといて対策もクソもねぇだろ」「電気代高くてエアコンつけない勢が確実に熱中症で死亡するけどそこは無視か?」「電気料金を下げてくれればいいのでは?せめて、6月から10月までとか」などといった、多くの疑問や怒りの声があがる事態となっているようだ。

https://twitter.com/xxhajixxx/status/1663398595872309254

花粉症でも“半減”を連発の政府を訝しむ視線

今回の熱中症と同様“自然の驚異に立ち向かう政府の取り組み”ということでいえば、今年4月に岸田首相が花粉症に対し「多くの国民を悩ませ続けている社会問題」と断じ、その対策を省庁横断で取りまとめるよう関係閣僚に指示。

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今月30日にはそれらがまとめられ、30年後に花粉発生量を半減させることを目的に「スギの伐採・植え替え」「飛散防止」「治療」の3本柱で取り組むといった対策の内容が明らかになったのだが、SNS上からは「時期外れ」「他にやる事ないのか??」「また伐採? まさか跡地に太陽光パネル?」などと、その評判はあまりよろしくないようだ。

https://twitter.com/oS2S02RnT8CYskj/status/1663487950611685382

https://twitter.com/xxhajixxx/status/1663367098972913665

なによりも、先述の熱中症による死亡者数に続き、花粉発生量に関しても半減を目指すといった、かくも簡単に“半減”という表現を乱発する政府に対しては、逆に訝しむ視線が集まっており、なかには「社保爆上げで手取り半減」「税金も半減したら?」「キシダの話だから話半分で聞いとく」といった揶揄する反応も。

ここ最近だけでも、2024年度から徴収が始まる「森林環境税」にくわえ、さらには扶養控除も縮小を含めた見直しを検討する方針と伝えられるなど、増えるばかりの国民負担。それらから国民の目を逸らすために、半減半減と調子の良いことを言っている……そんな見方まで、一部からは出てきているところだ。

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