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投資家から見た『半導体戦争』の勝者は?米国が“台湾有事”をやたらと煽るワケ=栫井駿介

半導体市場の中心『TSMC』

今の半導体業界において台風の目となっているのがTSMCです。

TSMCが無いと半導体がまわらない、TSMCと直接的にバッティングする相手はもはやいなくなっているという状況です。

2010年代の半導体の世界はTSMCを中心に回っていたといっても過言ではありません。

その以前はインテルの独壇場で、「86系」と呼ばれる仕組みを独占し、PCに使われるCPUはインテルとAMDしか作れないということになっていました。

そのインテルのチップは汎用性が高く、PCのあらゆる作業をこなすことができ、値段が高くても使わざるを得なかったわけです。

それがPCだけではなくサーバーにも使うということでインテルは栄華を極めました。

半導体を作るのはものすごく難しい技術で、他がコピーしようと思ってもできるものではないので、一度開発のトップに立ってシェアを奪ってたくさん作ることになると、他は離される一方という現実があります。

だからインテルは独走状態を築けたということです。

その状況に大きな変化をもたらしたのがスマートフォンです。

実はインテルはAppleからスマートフォン用の半導体を作るよう依頼をされていましたが、PCやサーバーで大きく利益をあげていたので、売れるか分からないものを開発するリスクを取る必要はないと判断したようです。

そこでAppleは86系のシステムからすら脱却しようとします。

それがArmです。

設計まではArmの仕組みを使って行い、製造は台湾にあるTSMCに委託することにしました。

TSMCは依頼を受けて製造のみを行うファウンドリーというビジネスを専業で行っていて、技術を盗まれる心配が無かったのです。

その後、スマートフォンの需要が爆発的に伸びて、物を作れば作るほど開発能力・製造能力は進化していくので、やがてインテルに追い付き、ついには追い越したというところまで来ました。

今や世界の最先端を走っているのはTSMCです。

TSMCという、純粋に物を作るだけの会社が最先端の技術を獲得したことが、他の会社にもプラスの影響を与えました。

それが、AMDやNvidiaの台頭です。

あるアイデアがあってそれを実現するためには自分の会社で最先端の技術を使える工場を持つ必要がありましたが、ファウンドリーであるTSMCがその技術を獲得したことにより、AMDやNvidiaなどの新興企業が工場を持たずに最先端の製品を作ることができるようになりました。

こうして、気が付けばTSMC無しでは最先端の半導体は作れないという状態になっているのです。

Next: TSMCの台頭が許せない米国政府…半導体戦争の行方は?

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