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投資家から見た『半導体戦争』の勝者は?米国が“台湾有事”をやたらと煽るワケ=栫井駿介

米中の攻防

TSMCの台頭をよく思わなかったのが米国政府です。

半導体は軍事的にも非常に重要なものなので、米国政府としてはその技術は手元に置いておきたいです。

今は台湾から輸入できる状態なので不自由なく手に入れられますが、TSMCが台湾にあるという状態は米国政府にとって非常に大きな問題です。

台湾は厳密に言うと国ではなく、建付けとしては中国の一部となっていたりもします。

中国というと、一国二制度の下で民主主義も維持していくと言っていたもののその約束を破って事実上一体化してしまっています。

台湾でも同じことが起こる可能性があり、もしそうなってしまうと、TSMCの工場ないし技術をまるまる持っていかれてしまうことになります。

そういう事態を米国は非常に危惧しているのです。

ではどうしたかというと、とにかく技術を手元に置いておきたいということで、TSMCに補助金を出してアメリカに工場を建設し稼働させました。

これによって、形の上ではアメリカ国内で半導体の製造ができることになりました。

しかし、発展途上国である台湾で製造した方が経済的効率性は高く、台湾人の勤勉さも相まって、台湾人が台湾で製造した方が良いということになってしまい、アメリカに工場が定着しないとなると、生命線を台湾に握られているという状態は変わりません。

また、中国も半導体が軍事的にも重要なことが分かっているので、採算度外視で半導体の生産・製造を強化しています。

当然、中国は台湾の半導体を狙うことになりますが、アメリカとしてはそれは絶対に阻止しなければなりません。

だからこそアメリカは「台湾有事」を煽って常に中国をけん制し、禁輸措置なども行っています。
中国が半導体の技術を握ること、TSMCを中国に持っていかれてしまうことをアメリカは最も恐れています。

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image by:Gorodenkoff / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2023年7月7日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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