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日本株上昇に乗り遅れた人はいつ株を始めるのか?今後の相場展望とベテラン投資家たちがさらなる上昇を予期するワケ=栫井駿介

日経平均株価は33年ぶりの高値圏にあり、今は上がりすぎているから下がった時に買おうと考えている方も多いかと思います。一方で、これだけ下がらないと、もう下がらないから今買った方がよいのではないかと焦る気持ちが募っている方もいるかと思います。今回は今後の相場の見方を解説したいと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

大きな流れからは外れない

相場の流れは確かに難しいものではありますが、一方では必ず大きな流れというものがあります。

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それがこの相場循環図です。

1. 金融相場…金利が下がることで市場にお金がばらまかれて株価上昇をけん引するもの。

2. 業績相場…実体経済にもお金が流れて企業業績の回復・成長が見られるようになる。

3. 逆金融相場…景気の過熱を抑えるために金利を上げて株価が下がる局面。

4. 逆業績相場…実体経済にも影響が現れて企業業績が悪化する。

この(1)〜(4)が繰り返されていくということです。

今の状況に当てはめると、(1)の金融相場がまさにコロナショック後の世界で、過去に例を見ないほどの巨大な金融緩和が行われ、株価が大きく上昇しました。

そしてDXなどが盛り上がったことにより一部のIT企業を中心にさらに株価がしました。

しかし、今は③逆金融相場の局面のあると考えていて、FRBを始め世界の金融当局がインフレを抑えるために金利を引き上げ、株価も下がってきたところです。

ではこの後何が起こるかというと、大きな流れとしては逆業績相場が訪れるのが自然な流れとなります。

金利は景気の先行きを示すと言われていますが、ここ数ヶ月「逆イールド」という短期金利が長期金利を上回る状況が続いています。

平常時なら長期金利の方が短期金利よりも高いものですが、目先の景気に不安が生じるとこれが逆転してしまいます。

実際に過去の例を見ても、逆イールドが起こってからおよそ一年半くらいの間に景気悪化が起きているのです。

よって、この後訪れるのは景気悪化だと言われていますが、アメリカの雇用指標などを見るとそこまで悪くないので、もしかしたら逆業績相場は来ないのではないかとも見られています。

景気が悪くならないということであればそれはそれで歓迎すべきところではありますが、一方ではインフレがしつこく残っている現状もあります。

インフレが少し落ち着いたということでFRBは金利上昇に待ったをかけましたが、ヨーロッパのインフレは止まらずどんどん金利を引き上げています。

アメリカも少し落ち着いたように見えますが、まだまだインフレということでさらに金利を引き上げる可能性もあります。

この金利の上昇で実は恩恵を受けているのが日本企業だったりします。

アメリカは金利を引き上げていますが、日本は新しく植田日銀総裁になっても今までの黒田前総裁の方針を踏襲して金利を引き上げようとはしていないです。

というのも、日本はインフレ率2%を達成するために金利を引き下げていますが、いまだ達成には至っていないので金利を上げる理由が無いのです。

日本政府としても、いま金利が上がると財政的な支払いが厳しくなるので、金利を上げたくない「金融抑圧」の状況となっています。

こうして日米の金利差が生じて、円安・ドル高の動きになりやすいというのが目先の話です。

円安だと日本企業は業績が良くなることに加え、ドルベースで見ると日経平均はそこまで上がっていません。

相対的に見た時に日本株はまだ買えるということで外国人投資家が入ってきているというのが現状です。

世界的な株価を見ても、実は景気は悪化しないのではないかということで株価が上がっています。

しかし、大枠の流れとしては、逆金融相場における小休止であるという見方が素直なのではないかと思います。

相場の格言に『今回だけは違う』というものがあります。

元々セオリーがある中で、「今回だけは特別である」という言い方をされて時には多くの人がそっちのストーリーになびいてしまいがちですが、結局はセオリー通りに動くという格言ですが、今の「逆業績相場は来ない」という言説はまさに『今回だけは違う』の危険性を体現しているように思えます。

また、『デッド・キャット・バウンス(死んだ猫でも落とせば跳ねる)』という格言もあります。

下落局面においても、空売りの買戻しなどによって跳ねることもあるということです。

今の反騰局面はただの「デッド・キャット・バウンス」なのではないかという見方もあります。

したがって、セオリーに従うのであれば今の時点ではまだネガティブ要素が強いと思われます。

Next: そんなに下がらない?ベテラン投資家たちが上昇を予期するワケ

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