映画『縁の下のイミグレ』主役を演じるまでのいきさつ
鈴木:なるほど。そういう環境で今、学校生活を送ってらっしゃると。そして、同時に映画とかも出演されている。その映画『縁の下のイミグレ』なんですけども、今回はじめての主演ということで、いかがでしたか?
ナターシャ:主演ですごく緊張したんですけど、まわりが大先輩方で、だからこそちゃんとしなきゃなっていうのがあって……。でも、ちゃんとやりきるようにしました!
鈴木:なるほど。その映画の主演ですが、前から映画に出たいとか、映画女優を目指してたとか、そういうのはあったんですか?
ナターシャ:演技のレッスンが事務所に入ったばっかりのときはあったんですけど、そのときの演技レッスンは正直苦手で、演技っていうのがちょっと嫌いだったんです。ちょうど小学校6年生の頃、12歳の頃ですね。
鈴木:そのときは演技が苦手で、ダメだと思ったと……。
ナターシャ:はい。ちょっと嫌で……。そうしているうちに、急にコロナ禍とかで、レッスンがなくなったんです。それで映画を見る機会がとても増えていって、急に演技やりたくなってきて……。今までモデルのオーディションが多かったんですけど、女優のオーディションもやってみたいとなって、そこからはじまりました。
鈴木:なるほど。コロナ禍の中で映画見る機会が増えていって、それで演技もやりたくなった、と……。
ナターシャ:はい。自分もやってみたいなって思いました。映画の出演が決まってから、個人レッスンも行いました。
鈴木:今回の映画『縁の下のイミグレ』は、はじめての主演だったと思いますが、どのあたりが難しかったですか?
ナターシャ:脚本を読んでいると、けっこうカタコトだったので、そこが難しいなと思いました
鈴木:カタコトが難しい?そうか、ふだんは普通に日本語を話していますからね。
ナターシャ:そうですね。それでカタコトが難しいなって思ったんですけど、でもなんかモノマネっていうか、そういうのが好きで。自信満々にオーディションに行きました(笑)。
『縁の下のイミグレ』のハインを演じてみて
鈴木:『縁の下のイミグレ』では、最後にハインが思いをぶちまけるクライマックスのときは、タガログ語を使っていました。ナターシャさんは家ではタガログ語を喋っておられるんでしょうか?
ナターシャ:いえ、違います。日本語で。タガログ語は、お母さんとお父さんが喋ってて、私は日本語でコミュニケーションをとってます。でも、タガログ語でも言ってることはわかるみたいな感じです。
鈴木:そうなんですね。じゃ、お友だちもみんな日本語で喋ってて、ぜんぜんフィリピンの言葉とかで喋るってことはない?
ナターシャ:なかったです。フィリピン人の友だちは私の代はいなかったんですけど、姉とかはまだいました。私の友だちは、ほぼ日本人です。
鈴木:なるほど。『縁の下のイミグレ』の中では、技能実習生という制度でフィリピンから来たっていうことになるんですけども、ナターシャさん自身は全然そういう世界とは関係ない世界にいたってことですよね。技能実習生の話を読んでどうでした? こういう世界があるみたいな感じですか?
ナターシャ:はい、なんか全然わからなくて……。技能実習生っていう言葉すら知らなかったんです。だからオーディションの時にはじめてその言葉を見て調べて、こういう人たちは技能実習生って言うんだっていうのを知って……。それまでは全然知らなかったです。
鈴木:技能実習生のような世界があって、実際ハインっていう女の子を演じてみて、自分の中で思ったこととかあります?
ナターシャ:ハインはけっこう若いと思うのですが、すごく強いなって思ったんです。私は親と離れて暮らすとか、すごく寂しくなっちゃうんですよ。だから、なんかハインはちょっとすごいなって思いました。私もなにか行動はしてみたいなっていうのは思いました。
鈴木:『縁の下のイミグレ』で演じているハインは給料が未払いになってしまって、それでどうしたらいいのかわからないみたいな状況になっています。実際、今の日本でそういう目に遭っている人はいっぱいいると思うんですけども、ナターシャさん自身はそういう人たちに対してメッセージとかありますか?
ナターシャ:頑張ってほしいなって思います。両親もこの映画を3回見たのですが、両親は技能実習生ではないんですけど、物語のストーリーで似たような部分があって「ストーリーで泣けてきた」って言ってました。
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