本来なら地デジ実施時にブロードバンド配信にすべきだった
ドリル優子でお馴染みの小渕議員の父親であった小渕首相時代に突然、地上波がアナログからデジタル化にシフトすることが決定し、この業界はかなりの設備投資が行われたのは記憶に新しいところ。
しかしいま思うと、このタイミングに地上波はブロードバンド利用のネット配信にシフトすべきであって、それが実現していれば視聴率が下落しても優良な顧客の視聴だけをアルゴリズムで感知して、既存地上波より破格の高額広告配信モデルを実現することもできたはずです。
GoogleはYouTubeでも実際にリアルタイムのビッド(競争入札)により優良顧客への動画CMを特別なものにして販売できていますから、国内のキー局もとっくの昔にそれができていたはず。
過去の数字から予想するような既存の番組提供やテレビスポット販売のビジネスモデルを広告主が納得する斬新なものにできたのに、実現できずにここに至っているのは非常に残念な状況です。
キー局はホールディングカンパニー化してとにかく大きな会社に見せている
在京キー局の決算見てみますと、とにかく5社すべてがホールディングカンパニー化して、その下に売上がつくあらゆる事業をぶら下げて企業規模を大きく見せており、実情を知らない投資家が見れば、それなりの成長がはかられているかのような錯覚に陥るところです。
しかしながら、過去から続く放送事業だけ取り出してみますと、儲かっていないところがほとんどで、しかも事業規模は上述のようなビジネスモデルの中で本当はどんどん縮減していることが見えてきます。
HDカンパニーの決算は実態をデフォルメするのに相当適していますから、各社ともにそんなことはおくびにも出さずに経営を続けています。
そして、もう電波を使った同報配信の放送事業などはさっさとやめて、不動産業に経営資源を集中したほうがよろしいのでは……と思われるような会社も存在しているのが現状。
残念ながらフジテレビも、いい加減放送事業やめたら?という時間帯に突入しているように見えて仕方ありません。
こういう記事を書きますと、「まだまだやりようはあるのだから失礼なことを言うな」というお叱りを受けることが多いのですが、業界事情に詳しい者の目で見ますと、もはや相当厳しい状況に陥っており、根本的なビジネスモデルの全面改訂を早急に進めることが必要であることを強く感じる次第です。
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『
今市的視点 IMAICHI POV
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』(2023年11月25日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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