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フジテレビ、ついに民放在京キー局最下位の視聴率に。前時代的なビジネスモデルのままでは一気に崩壊も=今市太郎

視聴率低下は即広告売上低下というビジネスモデル

民放地上波のテレビ広告販売モデルは、開局当時からおおむね2つで構成されています。

1つは、特定枠を2クール(つまり6か月)以上提供する契約となる「番組提供」のモデル。もう1つは、特定期間に15秒のスポット広告を購入する「スポット広告」です。

番組提供料は本来キー局の売り上げとなる「電波料」に、地方局への売り上げの分け前となる「ネット費」、さらに「制作費」という3つの項目で構成された請求額が設定されてきましたが、80年代のバブル期のあたりからその価格はかなりどんぶり勘定になり、60秒提供なら月額6,000万円とか7,000万円とかいうようにバルクの価格でやり取りがされるようになりました。

言ってみれば、銀座の交差点に隣接する一等地に大きな看板を確保できれば間違いなく街行く人たちの広告認知と理解が確保できるというのがGPタイムにおける番組提供であったわけですが、すでにそれに見向きもしない視聴者が激増し始めているのが現実です。

電波利用の在京キー局は5局でそれ以上増えることはまったくありませんでしたから、需給の逼迫で料金が上がることはあっても、下がることなどない時代が長く続きました。しかし、21世紀に入ってそれが崩れ始めており、足元では相当深刻な状況に陥っていることが覗かれる状況です。

とくにゴールデンやプライムの時間帯にテレビを見ない人間が激増するという社会が到来することはこの業界関係者は全く予想していなかった状況で、全般的に番組視聴率がとれなくなってしまった足元の状況ではかつての月9のような看板枠であっても逆に価格の正当性を失う結果となってしまい、高い料金で番組提供をする広告主は大幅に減少、結果的に価格は下がり売れ残りの枠はスポットにばらして販売して凌ぐ状況が常態化しはじめています。

ただこちらも前四週の同時間帯平均視聴率をもとに値付けが行われるため、同じスポットでも視聴率が下がれば価格は下落。1本15%の視聴率で売れたものが5%の視聴率に下がれば、売り上げは一気に3分の1に落ち込むような仕組みとなっており、まさに視聴率の低下は局にとっては死活問題になっていることがわかります。

テレビスポットの場合は一定期間に50本とか100本といったバルク買いをするわけですが、予定総視聴率(通称GRP)は各番組時間帯の視聴率が低下すると100本で1400%あったものが500%になってしまうといった具合に減少してしまい、それに一定の%コストと呼ばれる単価をかけ合わせていきますから、視聴率低迷は即刻売上激減を引き起こす大きな問題となってしまうのです。

視聴者離れに対応できないフジテレビ

放送法では、番組の最大1割が広告と上限を決められています。そのため、売上が足りないから空き枠をすべてスポットにして売るなどということもできませんし、時間が過ぎれば在庫として保存しておくこともできない、凄まじい水物ビジネスになっていることが垣間見える状況です。

それでも長年低視聴率の中を生きぬいてきたテレビ東京などは限られた原資で番組を制作して放送するという術を身に着けています。

しかし、長年勢いだけで派手な番組制作を続けてきたフジテレビのような局にとっては、足元の状況はどうすることもできない様子。

とくにかつて華やかな成功体験を得て幹部になった経営者は、まったくこの危機的状況に適切な戦略を打ち出すことができないまま、視聴者離れに直面していることがわかります。

Next: テレビ局は見せかけの大企業?地デジ実施時に対応すべきだった…

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