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閉店が相次ぐ「ヴィレッジヴァンガード」株は買いか?客足が減った2つの要因。効率化で業績改善も魅力が失われる危険性=山口伸

客足が遠のいた2つの要因

本業のヴィレヴァンに話を戻そう。客足が遠のいてしまった要因として、2点が考えられる。

<要因その1:飽きられた>

1つ目は単純に飽きられてしまった点だ。

本もCDも雑貨も扱う楽しい雑貨屋は当時としては珍しく、2000年代は話題性が客を呼んで店舗数を増やした。珍しい物見たさで寄る客も多かったわけだが、何度も通ううちに飽きられてしまったのではないだろうか。

特に拡大当時はイオンモールなどいわゆる普通の商業施設にも出店していた。頻繁に見掛けるようになるとエンターテイメント性や珍しさといった店舗の魅力は失われる。そういった意味で400店舗という規模は同業態として適正な規模ではなかったと考えられる。

<要因その2:暇つぶし需要の減少>

2点目として考えられるのは、暇つぶし需要の減少である。

ヴィレヴァンの来客目的として商業施設に訪れた際の暇つぶしがある。暇つぶしで入ってみたものの面白そうな商品を見つけてしまい、ついでに買ってしまう客が売上に貢献する形だ。

だがヴィレヴァンの既存店売上高が減少し始めた時期は、ちょうどスマホの普及率が増加した時期と重なる。2010年にわずか4%だったスマホの普及率は翌年に21%となり、15年には半分を超えた。商業施設にいる消費者がスマホを持つようになったことで、ヴィレヴァンに対する興味が失われてしまったのではないだろうか。

ちなみに他社記事で同社の幹部はスマホやSNSによる暇つぶし需要の減少について語っている。
※参考:その街のファンが店長になり、現場発想で客を呼び込む…「遊べる本屋」ヴィレッジヴァンガードの運営哲学 – XD:クロスディー(2019年12月17日配信)

そしてチチカカの売却以降、ヴィレヴァンは不採算店の閉店を続け、年々会社規模は縮小し続けた。

直近の業績は…

それでは近年の推移をみてみよう。「2019年5月期〜23年5月期」までの全社業績と店舗数は次の通りである。

売上高:339億円 → 293億円 → 283億円 → 268億円 → 253億円
店舗数:346 → 343 → 334 → 318 → 307

ヴィレッジヴァンガードコーポレーション<2769> 業績(SBI証券提供)

ヴィレッジヴァンガードコーポレーション<2769> 業績(SBI証券提供)

直近の5年間で店舗数は約40店舗減少し売上高も縮小した。既定路線だった不採算店閉鎖のほか、コロナ禍による時短営業・休業の影響が縮小の要因である。

一方で営業利益は21年5月期から、最終利益は22年5月期から黒字化に成功しており、在庫や仕入のコントロールが上手くいったようだ。他にも期間限定のPOPUP店やオンライン販売がある程度売上に貢献している。

Next: 再び躍進するか?今後はDXで効率化を図るが…

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