資源ビジネス
三菱商事が比較的重きを置いている部分が「天然ガスグループ」「金属資源グループ」といった資源ビジネスです。
天然ガスのプラントなどに直接資金を投入して、そこから産出される天然ガスや金属資源を売ることで利益を得るというものです。
この投資は基本的に複数の会社が投資しあって利益も分け合うもので、一般の個人投資家や小さな会社ではなかなかできるものではありません。
三菱商事は昔から作り上げてきた海外のネットワークや優秀な人材を活かし、大きなお金を資源に投入してきました。
リーマンショック前には“資源バブル”があり石油価格も高騰していて、その頃から資源に大きく投資してきました。
その結果、資源ビジネスによる利益が大きくなって、2023年3月期には資源ビジネスからの利益が全体の半分以上となっています。
直近でも資源価格が高騰していて、大きな利益をあげています。
三菱商事は資源ビジネスによって成功してきたと言えます。
それが利益率にも表れていて、資源の利益率が非資源に比べて明らかに高くなっています。
直近では利益率が10%にもなっていて、資源がかなりおいしいビジネスになっていることがうかがえます。
非資源のビジネスは安定しているとも言えますが、平均して3%くらいで、あまり上がっていはいません。
一方で、グラフを見れば分かる通り、大きく赤字になっているところもあります。
2016年は銅の鉱山の収益性が上がらず、赤字となりました。
資源ビジネスはこういった大きなリスクを伴う事業でもあります。
また、資源価格の影響も大きく、リーマンショックやコロナショックの時には資源価格が大きく下がりました。
今は資源価格が上がっていますが、これがまたいつ下がるか分かりません。
直近10年の資源ROAは3.5%で、非資源よりも高くはなっているものの、リスクも高いです。
今は業績が良くて株価が上がっていますが、この業績は資源価格に支えられたものであり、この後資源価格が下落するようであれば、業績・株価の停滞は避けられないかと思われます。
しかし、これほど大きく儲けられる資源ビジネスは辞められないでしょうし、逆に非資源の方をコツコツやっていく人たちのモチベーションも上がらないのではないかと思います。
三菱商事で働く優秀なサラリーマン
次は三菱商事の従業員に焦点を当てたいと思います。
従業員数が5,448名と、トヨタが10万人以上であることを考えると大企業にしては少なく、少数精鋭であると言えます。
平均勤続年数18年6ヶ月というのも上場企業の中ではかなり長い方だと思います。
そして、平均年間給与が2,000万円近くもあるということで、優秀な人材が長く務めるのも納得です。
しかし、その優秀な人材が配属される先は、ほとんどがあまり儲からない非資源の分野になります。
私の想像の範囲にはなりますが、あまり儲からないビジネスをやっていると、一部の人はもっとやりがいのある所に出ていくのではないかと思います。
イメージとしてはイノベーティブな会社ではありません。
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