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株価爆上げ「三菱商事」は買い?売り?ホールド?数字でわかる商社ビジネスの弱点、長期投資家はどう判断すべきか=栫井駿介

今回は三菱商事<8058>についてです。直近では上限5,000億円の自己株式取得を行うなど、株主還元にも積極的な姿勢を見せていることで、株価が大きく上昇しています。長期的な観点から三菱商事を分析し、今後成長していけるかどうかを考えてみたいと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

バフェット効果で株価急上昇

三菱商事<8058> 月足(SBI証券提供)

三菱商事<8058> 月足(SBI証券提供)

 

三菱商事の株価ですが、2005年頃に資源高などもあって上昇したもののリーマンショックで大きく下落し、その後長らく上がらない期間が続きました。
最近になって、業績が上向いたこと、2019年にウォーレン・バフェットが日本の商社を買い始めたこと、割安株に注目が集まったことなどがあり、株価が大きく上昇しています。

配当も手厚くて、株価が低かった期間には、配当利回りが3~4%ほどありました。
今は株価が上がった分配当利回りが下がって2.5%となっていますが、PERはまだ12.8倍で割安にも見えます。
バフェットも、ビジネスが堅調で配当利回りが高いにもかかわらず割安に放置されていたという観点で目を付けたと言っています。

三菱商事ってどんな会社?

「三菱商事」というと、三菱財閥のトップ企業で、とても優秀な人たちが働いているというイメージがあると思います。
実際に、私の周りの、東京大学の中でも特に優秀な人たちが三菱商事に就職して行きました。

一方で、三菱商事が何をやっている企業なのか理解している人はほとんどいないのではないでしょうか。
三菱商事の社内でも、全てを把握している人はあまりいないのではないかと思えるほど、事業が多岐に及んでいます。

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元々の商社のビジネスというと、モノを作る・仕入れる・売るというバリューチェーンを仕切ることで事業を拡大してきました。
いろいろな産業に関わって、海外から輸入してきて消費者に販売するというのがかつての商社でした。

しかし、インターネットが普及して、海外のものでも個人レベルで輸入できるようになると、卸売業としての商社のビジネスは見方によっては“中抜き”であり、一時期は「商社不要論」も唱えられました。

投資の会社

いま商社が力を入れているのは、どちらかというと投資ビジネスです。
企業や資源に投資をして、その投資の利益を会社の利益とするビジネスです。
もちろん、ただ投資するだけではなく、三菱商事の優秀な人材が、投資した企業の社長になるなどして運営を行ったりもします。

三菱商事は今投資を軸にしていて、投資を行うということは様々な産業に分かれていくということで、これほど事業が幅広くなっています。

投資も簡単ではなく、上手くいかないこともありますし、優位性を発揮しにくい部分もあります。
分散するほど、三菱商事としての専門性は無くなってしまいます。

Next: なぜ三菱商事のビジネスは成功できた?長期投資家はどう見るか

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