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ワークマン「子ども服・肌着への参入」は吉か凶か。顧客のニーズを見失うと一気に凋落も=澤田聖陽

ワークマンは2月18日に行われた春夏新製品発表会で子ども服と肌着への参入と将来的な目標を発表した。はたして成長モデル回帰への起爆剤となるのか。直近の決算を見ながら将来性について考えたい。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2024年2月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

子ども服・肌着に参入

ワークマンは2月18日に行われた春夏新製品発表会で子ども服と肌着への参入と将来的な目標を発表した。

子ども服については、今春に女性向け店舗である「ワークマン女子」の6店舗の中に「ワークマンキッズ」を併設する。将来的には売上200億円を目指すとしている。

肌着については旭化成アドバンス社と共同開発した吸放湿性の高い素材(シン・呼吸するインナー)を使った商品を投球する予定だ。キャミソールやタンクトップで780円の価格設定で販売する予定だ。

製品発表会で土屋哲雄専務は「最大手(ユニクロ)の夏用の肌着が1,290円なので、2マークほどの価格差がある。国内の肌着市場で5%のシェア(500億円)を取るポテンシャルがある」と話しており、将来的には全店(1,007店舗)で取り扱い、初年度で女性用30万枚、男性用15万枚の販売を計画していると」と話している。

2024年3月期決算を下方修正

ワークマンは2月5日に2024年3月期第3四半期の決算発表を行っている。同時に下記のとおり、2024年3月期の業績予想の下方修正を行った。

<修正前>

売上:136,576百万円
経常利益:26,214百万円
当期純利益:17,563百万円

<修正後>

売上:134,993百万円
経常利益:23,955百万円
当期純利益:16,030百万円

ワークマンは2011年3月期から2023年3月期まで13期連続で売上、当期純利益ベースで増収、増益を達成しているが、拡大路線がとうとう踊り場に差し掛かったということではないか。

ワークマン<7564> 週足(SBI証券提供)

ワークマン<7564> 週足(SBI証券提供)

ワークマンの各業態について

ワークマンの各業態の2023年12月末時点でと前期末時点での店舗数は以下のとおりとなっている。

・WORKMAN:405店舗(2023年12月末時点) 479店舗(前期末)
・WORKMAN Plus:547店舗(2023年12月末時点) 473店舗(前期末)
・ワークマン女子及びWorkman Colors:44店舗(2023年12月末時点) 26店舗(前期末)
・WORKMAN PRO:10店舗(2023年12月末時点) 3店舗(前期末)

ワークマンは元々プロ向けワークウェアなどを提供するWORKMANを主業態としていたが、近年では「高機能×低価格のサプライズをすべての人へ」をコンセプトにした、アウトドア、スポーツ、レインウエアの専門店として一般ユーザー向けのWORKMAN Plusを積極的に出店してきた(現在ではWORKMAN店舗でもWORKMAN Plusの商品も取り扱っている)。

また「ワークマン女子」というブランドで、高機能な女性向けのオシャレな商品を提供する店舗を展開してきた。

ワークマンでは特に女性向けにYouTuberなどのインフルエンサーを積極的に活用してプロモーションを行っている。2023年6月の株主総会ではカリスマインフルエンサーの「サリーさん」こと濱屋理沙氏が社外取締役にも就任しており、ワークマンのアンバサダーとなっている。

しまむらもそうだが、近年アパレル販売各社ではインフルエンサーを使ったプロモーションをいかに上手く展開していくかが業績に直結する。

ワークマンについては、インフルエンサーマーケティングは今のところ上手くいっていると思う。しかしワークマンはしまむらなどに比べると扱う商品に偏りがある。日常的に頻繁に来店して買ってくれる商品が少ないため、今回肌着なども取り扱うという選択になったのだろうと思う。

Next: 成長率は戻るのか?子ども服・肌着への参入がもたらすもの

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