成長鈍化の可能性が高い?
それは、成長鈍化の可能性が高まったためです。
24年4月期3Q単体の営業利益は前年同期を下回りました。成長率は年々下落しています。
ついに営業利益がマイナスの成長となったことが、市場がネガティブに捉えたものと考えます。
出典:決算短信より作成
ANYCOLORの説明では、23年12月に開催された「にじさんじフェス」のコストが想定を上回ったことが原因のようです。
しかし、そもそも売上が伸びていれば、そのコストも回収できるはずです。
売上減少となる要因を考えてみましょう。
市場自体は成長中だが…
まず、ANYCOLORが参加するVTuberの市場の動向をみてみましょう。
結論、拡大しています。
出典:矢野経済研究所
2016年のキズナアイの誕生をきっかけに、コロナ禍で巣篭もり需要が増えたことが追い風となり、VTuberの認知度が高まりました。
しかし、上記のグラフを成長率で考えると、115%→67%→53%と成長率自体は鈍化しています。したがって、ANYCOLRの売上成長率が伸び悩む理由は、
「コロナ禍で急速に認知度が高まったVTuber市場の成長ペースが落ちているため」
と考えることができます。
では、その市場参加者の動向、つまり競合の観点ではどうでしょうか?
ホロライブは強力なライバル
この市場はANYCOLRと、ホロライブを運営するカバーの寡占と言えるでしょう。
出典:ジェネリック集計人「Vtuber業界地図 2023年総集編」より引用
では、ANYCOLORとカバーの違いはどんなところにあるのでしょうか?
大きな特徴は、「ホロライブ」のカバーは在籍VTuberの人数は少ないものの、チャンネル登録者数は多く、在籍VTuber一人当たり年間収益もANYCOLORを上回ります。
つまりカバーには、「チャンネル登録者数100万人を超えるような大型VTuberが多い」と言えるでしょう。
では、ANYCOLORはダメなのか?というとそうではないと考えます。
特定のタレントに収益源が集中することはリスクとなります。むしろ、カバーの倍近いVTuberを抱えながら、営業利益率はカバーを大きく上回ります。
(参考:23年度 予想営業利益率 カバー:18%、エニーカラー: 38%)
むしろ、うまく経営ができているのは、ANYCOLORの方だと考えます。とはいえ、寡占市場の中でも強力なライバルがいることは、脅威の1つとして認識すべきです。