パナソニックが先日新たに発売したミラーレス一眼カメラに関して、製品サイト上に機能や性能の紹介として掲載されていた画像の一部が、同製品で撮影されていたものではなく、有料の画像素材サイト、いわゆるストックフォトの画像だったことが判明し、同社が謝罪に追い込まれる展開となっているようだ。
報道によれば、当該製品は6月20日発売予定のパナソニック「LUMIX」シリーズのミラーレス一眼カメラ「DC-S9」。5月23日に発売する旨のプレスリリースが発表され、製品サイトも公開されていたようなのだが、27日ごろになって写真愛好者らから、サイトで使われているいくつかの画像について、ストックフォトのサービスを使っているのではとの疑惑が噴出。
サイト上には「注意事項」として、「画像・イラストは効果を説明するためのイメージです」と説明されていたようなのだが、とはいえ、機能紹介として大きく掲載されているからには、当該機種で撮られたいわゆる“作例”であると考えるのが当然……という見方が多く、SNS上からは批判の声が多くあがる事態となった。
それらの反応を受けパナソニックは28日、サイト上に「LUMIX S9の商品WEBサイトの画像について」という文書を公開。
そのなかで同社は、ストックフォトの画像を使用していたことを認めたうえで、「クリエイティブを生み出すカメラの商品ページとしてふさわしいかの検討が不十分であったことに加えて、新製品で撮影した写真ではないことへの注釈がお客様にとって、分かりにくい内容と場所での表記となっておりました」と釈明している。
謝罪文にも批判が殺到
今回取沙汰されている件だが、ストックフォト画像の使用は新発売のLUMIX S9だけでなく、他モデルの製品ページでも行われており、さらにはAF機能の紹介などといった、まさにその機種で撮った画像を用いて紹介しないと意味がないのでは……といった箇所にも、構わずそういった画像が使われていた模様。
SNS上には「カメラのカタログの写真は発売前にカメラマンに頼んで撮影してもらっているものと固く信じていた」といった声も少なくなく、それだけに騙されていたといった反応や、さらには「優良誤認では?」といった批判もあがっているようだ。
LUMIXがカメラのカタログで使っている写真がストックフォトだったという話すごいな。カメラのカタログの写真は発売前にカメラマンに頼んで撮影してもらっているものと固く信じていたhttps://t.co/5XV6gwHtAm
— 加野瀬未友 (@kanose) May 28, 2024
ほんとだ…… カメラのAF機能を説明する見だしにストックフォト使うのはどうなんだこれ。カメラの機能紹介をする公式WEBサイトで下にちょろっと「これはイメージです」でOKならクレジット入り以外のすべてを疑わないといけない。他のメーカーでもそうなんか?(今まで疑ったことすらなかった #s9… pic.twitter.com/xB0l7tzRJv
— studio9/写真のことが全部わかる本 完全版 発売中! (@photostudio9) May 27, 2024
これは酷い…このレンズで絶対にこんなボケ出ないですよね
さすがに優良誤認では? https://t.co/MLlajZd9FC pic.twitter.com/0VXENQ4ZwO— KEN*ガジェット (@gg_ken_) May 27, 2024
「自社製品への愛や誇りがないのでは」といった声も聞こえてくる今回の件なのだが、具体的にどうしてそういった事が行われていたのかに関しては、今のところパナソニック側の説明はなく、真相は闇の中。
それだけにSNS上では、パナソニック側がこれらの製品紹介サイトの制作を、外注先の広告代理店やサイト制作会社に、ほぼほぼおまかせにしてしまったことで、安易にストックフォトの使用に走られてしまったのでは……といった憶測も流れているようだ。
LUMIXさんの問題は、製品に愛のない代理店を使ったことだろうなぁ…特にストックフォトを使いたがるのはサイト制作の代理店さんにありがち。
LUMIXに関してのこの記事、1p分の規定稿料しか出せませんだったので、各方面に忖度なしで7p分好きなように書いて撮ったった…https://t.co/6Blq41ELMK
— 池田圭一 (@keii_iiek) May 28, 2024
あーパナソニックこれはあかんわ…Webサイトの制作費極限まで削って、LUMIXで撮った素材も渡さずに、制作会社に丸投げしたやろ。
— akoustam (@akoustam) May 27, 2024
いっぽうで、先述の通り今回の件に関してサイト上にお詫びの文章を公開したパナソニックなのだが、これに関しても新たな批判が殺到する形に。
というのもその文書には、部署名どころかパナソニックという社名も、挙句の果てに日付の記載までもないという、おおよそ対外的に出す文書として体裁をなしていないものだったからだ。
部署名どころか会社名も日付もない文章を、企業が出すって、本気ですか…?
社内資料ですら、普通は作成者とか作成日付けますよね?
この文書の責任部署は?ってなりますよね?対外的な文章でこれって、この会社(Panasonic?LUMIX部門?)大丈夫ですか? https://t.co/das3TJ8EmO pic.twitter.com/D1xFOjf6hv
— あき/写真好きYouTuber (@aki_jp2020) May 28, 2024
パナソニックが炎上して、パナソニックの名前を出さずにお詫び出したのすごいな。Panasonicの正式な発表なのか、LUMIXのWebサイトを作成する会社の発表なのか、広告代理店の発表なのか、それすらもわからない。 https://t.co/uwhHQmXrMZ pic.twitter.com/s5lzKaZmJr
— zapa (@zapa) May 28, 2024
SNS上の一部ではこのお詫びの文章に関しても、パナソニック側で十分に検討されたものではなく、代理店が用意したものをほぼそのままあげたものでは、という憶測も少なからずあがっている状況。経費削減の影響か、あるいは本当に自社製品への愛がないのかは不明だが、要はそういったことに起因したある意味での“丸投げ体質”が、今回の騒動を招いているのでは……といった見方も多いようだ。
PanasonicのLUMIXのHPで、他社のカメラで撮ったストックフォトの写真を使ってた件、お詫び文のPDFがIllustratorで作られてるあたり、パナが任せてた代理店経由でデザイナーに書かせてパナは校正すらせずに出させたんだろうな。違うんだよ。優良誤認を招く重大ミスしてこれは、マジで企業としてヤバい。 https://t.co/osCf7sitzQ
— 古舘 (@frtc_san2) May 29, 2024
謝罪文のタイトルが「about_S9_site」なので代理店が作成したのかな?
現在そのsiteの写真がどの機種で撮影されたのかを追記中だけどLUMIX DC-S9で撮影されたのが見つけられない…。“カメラの作例だと思ったらストックフォトの写真だった――「LUMIX」商品サイトで物議”https://t.co/1Aa6Q2c2xt
— digits🚙 (@digits_sa) May 29, 2024
販売台数が13年ぶりにプラスへ
国内のデジタルカメラ市場といえば、2023年の販売台数が前年比7%増の120万台となり、実に13年ぶりにプラスへと転じたことが、先日報じられたばかり。
実際のところ同市場は、ここ十数年でスマートフォン搭載のカメラがどんどん高画質化した影響で、急速に収縮していき、近年のデジタルカメラの出荷台数はピーク時の約7%程度になっているといった話も。
さらに2020年以降のコロナ禍も、大きな打撃になっていたようだが、それから転じての昨年は広く旅行などの機会が増えたこともあり、それが販売台数の回復に繋がったということのようなのだ。
このように同市場の久々の活況ぶりが伝えられるなかで発売される予定だったLUMIX S9に対し、パナソニックも並々ならぬ期待を寄せていたと思われるのだが、半ば自業自得な展開とはいえ、思わぬ展開で発売前にミソを付けられることとなった格好だ。
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