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世界遺産・姫路城の入場料“外国人観光客は4倍値上げ”は差別か区別か。いっぽうで「ついに日本も途上国転落…」との嘆きも噴出中

世界遺産・姫路城の入場料を、外国人観光客に限って4倍程度値上げすることを検討していることが判明し、その是非を巡って様々な反応が飛び交っているようだ。

これは姫路市の清元秀泰市長が同市で開かれた国際会議で明かしたもの。姫路城の入場料は現在、18歳以上が1,000円に設定されているが、市長は「(姫路城は)7ドルで入れる。もっと値上げしようかなと思っている。外国の人は30ドル払ってもらい、市民は5ドルくらいにしたい」と話したという。

外国人観光客への値上げ分は、オーバーツーリズム(観光公害)対策や城の補修に充てたい考えだという。

2015年に続く入場料の値上げへ

古くは1346年、南北朝時代に築城されたとの説もある姫路城は、関ヶ原の戦いの恩賞で初代姫路藩主となった池田輝政によって、大規模な城郭へと変貌。

第二次世界大戦中には米軍による空襲に遭うも、大天守最上階に落ちた焼夷弾が不発弾となる幸運もあったようで、大天守をはじめとした多くの城郭建築が、現在もなお往年の姿をとどめている。

直近では2009~2015年にかけて「平成の大修理」が行われ、別名・白鷺城の由来のひとつでもある白漆喰で塗られた城壁が数十根ぶりに蘇ったことでも話題となったのだが、そのいっぽうで外国人観光客の間でも、その美しい外観にくわえて、ユネスコ世界遺産に登録されているという歴史的価値の高さもあり、注目度が俄然アップ。

海外の某旅行口コミサイトでは、日本国内で9番目に人気のある観光スポットになった……とのもあるほどだというのだ。

ただ、有名観光地ともなればその維持管理にもお金がかかるといことで、2021年度には有料エリアとその周辺の管理に、姫路市は人件費約2億円など約3億4,500万円の支出を行ったとのこと。

さらに、先述の平成の大修理には総工費約24億円がかかり、そのうち姫路市は約8億円を負担したとのことで、そういったコストも周期的にのしかかるというのだ。

そういった事情もあってか姫路城の入場料は、平成の大修理が終わった2015年に15年ぶりの値上げが行われ、高校生を除く大人の入場料が修理前の600円から現在の1,000円に。

しかしそれから約10年近く経ち、城のほうも漆喰壁の修繕などの必要が出てきているといい、今回の外国人観光客への値上げ話が持ち上がる少し前にも、姫路市が入城料の値上げを検討しているとのも、地元メディアによればあったようだ。

海外では当たり前の“二重価格”だが…

そんな経緯のなか、今回急浮上した外国人観光客への値上げ話なのだが、一部には「外国人差別」だと姫路市を糾弾する声もあるものの、これは差別ではなく区別である、あるいは海外の観光地では当たり前にやっていることだとして、姫路市の方針を容認する声がSNS上では多いよう。

また、外国人観光客だけ入場料をあげるのではなく、国籍によらず一律に値上げし、日本人に関してはマイナカードなどの提示などで、大幅に値下げすればいい……といったアイデアも。確かに外国人観光客価格を実際に導入したとして、帰化あるいは永住者も増えているなかで、どうやって入場券購入時に判別するかは、大きな課題となりそうである。

いっぽうで、そんな“外国人だけ値上げ”を受けて、SNS上で“嘆き”としてあがっているのが「日本もついに途上国に転落か…」といった声。

この手の“二重価格”なるものは、例えばフランスのルーブル美術館や、米国ハワイのダイヤモンドヘッドなど、いわゆる先進国にある観光スポットでも行われていることなのだが、確かに途上国の観光地で多く行われているといった印象も。要は外国人観光客と現地の自国民との所得に大きな差がある際に、そういう二重価格が発生するとのイメージが強いことから、そういった声が出てくるようなのだ。

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とはいえ、今の日本が記録的な円安を背景に、多くのインバウンドを集めていることは紛れのない事実。少し前に話題になった“インバウンド丼”しかり、その格差をまざまざと見せつけられる事案も出ており、それゆえ「現実的にそうだから仕方ない」といった諦めの声も多いといった状況のようだ。

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