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“優良誤認”で措置命令のchocoZAP。約2年で店舗数1500店の大躍進もマシン故障の続出&放置や迷惑客の存在などで失望するユーザーも多数か

RIZAP(ライザップ)が運営する小型のフィットネスジム「chocoZAP(チョコザップ)」が、消費者庁から景品表示法違反(優良誤認表示)で再発防止を求める措置命令を受けたことが波紋を呼んでいる。

報道によれば、同社はインスタグラムによる宣伝を依頼していたインフルエンサー15人の投稿を、自社サイトに転載する際に、「広告」や「PR」などの記載をせず、閲覧者に第三者の体験談と誤認させる表示をしていたとのこと。

さらに、chocoZAPが提供する「セルフ脱毛」「セルフエステ」など8種類のサービスについて、「24時間使い放題」など、いつでも自由に利用できるような表示を、自社サイトに載せたりインフルエンサーに投稿させたりしながら、実際には1日に5~16時間しか利用できない状態だったという。

RIZAPの持ち株会社は、取材に対し「自社サイトへの掲載ならば、広告表記は不要という認識だった」と答えたという。

経営不振が続くRIZAPグループの救世主的存在に

パーソナル・トレーニングジム「RIZAP」が大成功を収めるいっぽうで、美容・ヘルスケア関連をはじめとした幅広い分野の企業への積極的なM&Aなどにより、事業規模を拡大させてきたRIZAPグループ。

しかし数多くの不振企業を買収したことが裏目に出る格好となり、2019年3月期決算では193億円の赤字、さらに翌2020年も最終赤字に陥るなど、急激に経営状態が悪化することに。

その後、翌21年3月期からは2期連続黒字化を達成し、22年7月から「chocoZAP」のサービスを開始したという流れだ。従来のRIZAPがパーソナルジムという形態ゆえに多額の人件費が掛かっていたのとは逆に、chocoZAPは各店舗内に設置されたマシンなどを、会員らが自由に使ってトレーニングするといった、いわゆる人件費を極限まで抑えることで利益を出すといったビジネスモデルとなっている。

そのため、費用がかなりの高額との声も多かったRIZAPとは打って変わり、chocoZAPは月額3,278円(税込)という、一般的なフィットネスクラブと比較してもかなり安価な価格設定をウリにしたのだが、これがジム初心者らなどの間で大いに話題を呼ぶことに。その結果、今年5月時点の会員数は約120万人まで増え、また店舗数も約1,500店まで増えるなど、ほぼ2年という短期間で飛躍的な成長を遂げたのだ。

実際、chocoZAPの会員数は同社の想定以上に増加しているようで、同事業は23年11月以降、単月黒字となっており、RIZAPグループの赤字縮小にも大いに貢献しているといった状況のようだ。

事業急拡大の反面で“破綻状態”の店舗も

ここ近年では、雑居ビルの空きテナント、あるいは閉店したコンビニ跡などが、ことごとくchocoZAPに変わっていく……といった声も多く聞こえるなど、店舗数は拡大の一途であるchocoZAP。

しかしながら、利用者の間からの評判はというと、必ずしも良いものばかりではないようで、なかでも多いのがマシンの種類や台数そのものが少ない店舗があるといった声。店舗が入るテナントが狭い場合、どうしても導入できるマシンの数が限られるということのようだが、いっぽうでそのマシン自体も性能は高くなく、本格的なジムに通っていた向きからすると、満足いくトレーニングができないといった不満も。

さらにそのマシンも、管理がなかなか行き届かないのか、故障していることがあるといい、またその状態で長らく放置されていることもある状況だという。

そこで利用者は、まともに稼働する数少ないマシンを利用することになるのだが、低価格路線の宿命なのか、長時間マシンを占有し他の者に譲ろうとしないといった、マナーの悪い客も存在するとのことで、結局は思うようなトレーニングができずに、不満を募らせるといったケースが多いようだ。

今回報道された件では、セルフ脱毛やセルフエステなどの一部サービスが、いつでも自由に利用できるように謳っていたのが、優良誤認とみなされたようだが、それ以前の話としてジムの基本中の基本といったマシンも、24時間いつでも自由に使えるといった話とはほど遠い店舗も存在するなど、店舗運営的に破綻しているといったところもある状況のようなのだ。

このように2年間で約1,500店まで増やしたのはいいものの、その店舗急増ゆえの弊害が如実に現れているといったchocoZAPの現状なのだが、RIZAPグループとしては今後もこの拡大路線を継続していくようで、今後3年間で400億円以上の投資を行い、また来期末までに2,800店舗まで増やすといった青写真を描いている模様

店舗数が増えれば、稼働するマシンの絶対数も当然増えることとなり、利用者にとってはより自由に施設を利用できるようになる……といったことも考えられる反面で、現状でも各店舗のマシンのメンテナンスなどが行き届いていないことを考えると、さらなる店舗増によってそういった事態が加速することも大いに想定される。果たして、今後も続く急拡大路線がどちらに転ぶのか、大いに気になるところである。

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