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ピークから20%下落「三菱商事」株は買い?本当に割安か?リスクと将来性を長期投資のプロが解説=栫井駿介

業績は資源高・円安で大きく伸びる

以下が三菱商事の純利益推移です。

三菱商事<8058>通期業績推移(SBI証券提供)

三菱商事<8058>通期業績推移(SBI証券提供)

2007年から2015年にかけては、概ね3,000億円から5,000億円の範囲で推移していました。しかし、2016年3月期に大幅な赤字を記録し、約1,500億円の損失を計上しています。この急激な落ち込みは、資源価格の下落や事業環境の悪化が主な要因です。

その後、22018年から2020年にかけては5,000億円から6,000億円の安定した利益を維持しています。2021年3月期には新型コロナウイルスの影響で一時的に利益が減少しましたが、2022年3月期には約9,400億円の純利益を記録、さらに2023年3月期には約1兆1,800億円という驚異的な数字を達成しています。この急激な利益の伸びは、資源価格の上昇や円安の進行などが大きく寄与したためです。

2024年3月期と2025年3月期の予想では、利益は若干低下するものの、依然として9,000億円を超える水準を維持する見込みとなっています。

リスクとなる資源価格と為替

三菱商事の主要なリスクの一つは、資源価格と為替レートの変動に対する高い感応度です。同社の収益構造は、特に天然ガスグループや金属資源グループなどの資源関連事業に大きく依存しています。これらの事業は国際市況の影響を直接受けるため、原油、LNG、銅などの資源価格の変動が業績を大きく左右します。

また、グローバルに事業を展開する三菱商事にとって、為替レートの変動も重要なリスク要因です。円安は海外で得た利益の円換算額を増加させるため、短期的には業績にプラスに働く一方、円高は逆に海外収益の目減りをもたらします。

資源価格の高騰や円安傾向はこれまで三菱商事の業績を押し上げて来ましたが、その流れが反転するとしたらマイナスの影響を受けます。2016年3月期に最終赤字を記録したのも資源価格の下落等が原因であり、今後もそれが原因で業績が悪化する可能性は十分に想定できるでしょう。

WTI原油先物価格(SBI証券提供)

WTI原油先物価格・月足(SBI証券提供)

ドル円推移・月足(SBI証券提供)

ドル円推移・月足(SBI証券提供)

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