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ピークから20%下落「三菱商事」株は買い?本当に割安か?リスクと将来性を長期投資のプロが解説=栫井駿介

株価下落の要因とは?

三菱商事の株価は、この数ヶ月で下落傾向を示しています。この下落の主な理由としては、以下の要因が挙げられます。

まず、世界経済の減速懸念が強まっていることです。特に中国経済の回復の遅れや欧米の景気後退リスクが、投資家心理に影響を与えています。

次に、資源価格の軟化傾向があります。三菱商事の収益の多くを占める天然ガスや金属資源の価格が、2023年のピーク時と比べて下落しており、これが業績への懸念につながっています。

また、足元の円高傾向も株価下落の一因となっています。円高は海外での利益を円換算した際に目減りさせるため、三菱商事のような国際的な事業展開を行う企業にとってはマイナス要因となります。

地政学的リスクの高まりも投資家の慎重姿勢を招いています。中東情勢の緊迫化や米中関係の不安定さが、グローバルに事業を展開する三菱商事にとってリスク要因と見なされています。

株価は割安か?

三菱商事の株価指標を見ると、一見割安感があるように思われます。PERは12.9倍と比較的低く、PBRも1.27倍で資産価値に近い水準です。また、ROEは11.27%と高い資本効率を示しています。

しかし、これらの指標は現在の予想業績に基づいており、今後の事業環境の変化によっては大きく変動する可能性があります。特に三菱商事の場合、資源価格や為替レートの影響を強く受けるため、これらの外部要因の変化が業績を左右する可能性が高いです。

現在の世界経済の不確実性や地政学的リスクを考慮すると、今後の業績予想には慎重になる必要があります。資源価格の下落傾向や円高の進行が続けば、予想されている業績を下回る可能性もあります。

したがって、現時点で単純に「割安」と判断するのは早計かもしれません。投資家は、これらのリスク要因を十分に考慮し、中長期的な視点で企業価値を評価することが重要です。

悪い会社ではないですが、力強い成長性があるわけではありません。資源化価格下落や円高の可能性を考えると、私だったらあえて今のタイミングで投資することはないかなと思います。


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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年8月29日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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