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来年には青森県も…都内で相次ぐアンテナショップの閉店。賃料の高騰で銀座など一等地での出店が維持できずPRの軸足をふるさと納税に移す自治体が続出中

各地の自治体が都内などに出店しているアンテナショップの閉店などが相次いでいると報じられるなか、青森県も千代田区にある「あおもり北彩館東京店」を、来年7月末で閉店すると発表したようだ。

報道によれば、北彩館は2002年にオープンし、生鮮品や加工品など約1,000点を扱うほか、県産品のPRや観光情報の発信拠点として親しまれてきたとのこと。23年度の売上高は約3億3,000万円で、来店者は約8万7,000人だったという。

今回の閉店はアンテナショップが立地するJR飯田橋駅そばの再開発に伴うものだといい、今後後継拠点が必要かどうかや、拠点の機能、場所などを議論し、25年3月に整備方針をまとめるという。

コロナを機に店舗数は減少傾向に

地方の道府県などの自治体が、ご当地の農産物や工芸品などをPRするために展開しているアンテナショップだが、都内で増え始めたのは1990年代。

1994年に沖縄県が銀座に開業したのが大きなきっかけとなったようで、これを皮切りに他の自治体も続いていったというのだ。

ちなみにアンテナショップといえば、なぜか銀座・有楽町周辺に所在していることが多いのだが、これは同エリアが東京駅からもほど近く各地方からのアクセスが良い点にくわえ、近隣に有名老舗百貨店が多くあるため、販路の開拓や情報発信に向いている点が好まれたということ。

さらにアンテナショップが出来始めた当時は、バブルが崩壊したばかりといったタイミングで、銀座などの都心の一等地でもテナントの賃料が比較的安かったことも後押ししていたようだ。

その後、軒数が増え続けた都内のアンテナショップは、2020年には81軒を数えるまでになったのだが、ここ数年はコロナ禍により来場者数が減少し、売上も以前に比べて落ち込む傾向に。

このことが、各自治体においてアンテナショップのあり方を見直すきっかけになったようで、2022年末には「ぐんまちゃん家」が閉店したほか、また最近では池袋にある「宮城ふるさとプラザ」が2025年に閉鎖される方針となるなど、撤退する動きが目立つように。2023年4月時点での都内にあるアンテナショップの数は、67店舗まで減っているというのだ。

ご当地PRの主戦場はふるさと納税へ

実際、先に挙げた「ぐんまちゃん家」のケースだと、ピーク時には約57万7,000人(2013年度)もの来店者数に、約1億6,800万円(2015年度)という売上高を誇っていたのだが、閉鎖寸前の2022年度にはそれが約13万5,000人に約9,300万円と、ともに大きく落ち込んでいたということ。

さらに、アンテナショップを都内に出店する各自治体の間でネックになっているのが、このところの都心部における不動産価格高騰。銀座にあった「ぐんまちゃん家」の場合、年間でかかっていた賃料は約7,000万円だったということで、先述の売上にくわえ観光客や移住者の誘導といった効果と比べてあまりにも見合わないということで、整理の対象となったようだ。

さらに、都内のアンテナショップ減少に影響を及ぼしているとされているのが、昨今のふるさと納税に対する関心の高まり

家賃の高い都内の実店舗で、数百円・数千円といった単価の特産品を並べて、アテのない来客者を待つよりも、ふるさと納税というフィールドで返礼品である各地方の特産品をアピールするほうが、効率面で考えても確かに良いということで、どの自治体もそちらに力を入れるようになっているというのだ。

そんななかで今回の青森県の場合は、あくまで再開発の影響ということで、いわゆる経営の悪化が閉鎖の理由ではないようなのだが、それでも今後は後継拠点が必要かどうかも検討するということ。都会にいながら各地方の名産・特産品に出会えるということでファンも多いアンテナショップだが、ここに来て明らかに曲がり角を迎えているといった状況のようだ。

Next: 「店舗にて直接、商品を見ない事には…」

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