通販CMでお馴染みの「夢グループ」の関連施設で、エアコン室外機の盗難が相次いでいると報じられている。
報道によれば、被害があったのは茨城県神栖市にある関連施設「夢グループ神栖サービスセンター」で、エアコン室外機8台が盗まれたとのこと。室外機の盗難は今年に入って2回目だということで、同社は茨城県神栖警察署に被害届を提出したという。
盗難に遭った施設は、通信販売のコールセンター業務と商品発送業務を担っている場所だということで、代表取締役の石田重廣氏は「私が一番心配なのは、従業員の命です」「いずれの犯行も夜間に行われたことで、万が一スタッフが帰宅する時に犯人と鉢合わせになっていたらと思うとゾッとします」と不安を口にしているという。
今年5月には社員による“被害額1億円超”背任も発覚
DVDを「デー・ブイ・デー」と、またCDを「シー・デー」と呼ぶといった石田社長の独特な語り口や、価格を値切るアシスタントの保科有里さんとの、まるで愛人関係のような掛け合いが特徴の通販CMが、大いに人気を博している夢グループ。
最近ではエースコックなど食品メーカーから鉄道会社や航空会社、果ては地方自治体のPR動画にも、石田社長らがコラボという形で登場するなど、その注目度がより高まっている状況だ。
そんな夢グループの施設で相次いでいるという室外機の盗難だが、被害に遭っている神栖市の施設は、もともとは同社が運営していた健康ランドの建屋だということ。サイトを見ると健康ランド自体は、新型コロナ感染拡大による国からの緊急事態宣言を受けて、しばらく休業するという令和2年4月付のお知らせが書かれてあるのだが、実質上すでに廃業しているも同然の状況だった模様である。
ちなみに健康ランド時代の口コミをみてみると、良いようにいうと“昭和のよき時代を彷彿とさせる”ということで、有り体にいえば至る所に老朽化が目立つ古い施設だったようだ。
今回、盗まれた室外機は8台ということで、その被害額のほうは明らかになっていないのだが、これからどんどんと寒くなるというこの時季に、暖房が稼働できないということを考えると、とんだ災難といったところ。
そんな夢グループといえば、今年5月には企画宣伝部長を務めていた人物が、外部のイベント会社の社長と結託し、広告代理店から同社に支払われるはずだった広告費用の一部を不正に得ていたという、背任の容疑で逮捕されるといったトラブルもあったばかり。
こちらのほうは被害総額が1億円超にのぼったという話もあるようで、石田社長ら夢グループ自体の露出増加とは裏腹に、事業のほうは災難続きといったところのようだ。
金属窃盗事件が多発する北関東エリア
今回の夢グループの件に限らず相次いでいる室外機の盗難。今回の現場でもある茨城県内をはじめとした北関東エリアは、特にその被害が多いとされ、実際茨城県内では今年1月から2月末までの短期間に、去年の同時期に比べて1.7倍となる520件もの金属製品の窃盗事件が認知されているという。
その背景にあるのが銅の価格高騰。AI関連の電子機器やEVにも銅は多様されるのにくわえ、新興国を中心とした人口増加に伴うインフラ整備にも多用されるということで、その需要は膨張し続けており、それゆえここ4~5年で価格がおよそ2倍と上昇しているというのだ。
いっぽうで、室外機の盗難において特にターゲットとなりやすいのは、やはり空き家やアパートの空室に設置されているものだというのだが、いっぽうで人が住んでいたとしても、大通りに面していない家などは大いに狙われやすいという。
その点で今回被害に遭った夢グループの施設はというと、幹線道路からは少し離れた場所で、周りには住宅が少なく畑や空き地、あるいはソーラーパネルが点在するといった、人けがあまりなさそうな立地。
さらに先述の通り、健康ランドとしての営業は久しくしておらず、建物自体も老朽化が目立っていたということで、もしかすると窃盗犯サイドからは“廃屋”とみなされていた可能性もあり得そうである。
報道によれば、夢グループの同施設で室外機の盗難は、今年に入ってすでに2回目だということだが、この手の盗難が多発するエリアであることにくわえ、建物自体も古く周囲の人けも少ないという、狙われる条件が揃いに揃っているということで、被害が相次ぐのも半ば致し方がないといったところのようである。
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