税金が減るということは、当然税収が減ることになるので、財政悪化懸念で国債が売られる動きが起こります。
国債が売られるということは、価格が下がって利回りが上がるということなので、長期金利が上がっています。
金利が上昇すると割引率が上がってしまうので株式市場にとってあまり良いことではありません。
お金を借りる時に金利が上がってしまうと、株式市場にお金が流れにくくなります。
財政にとってマイナスで金利が上がれば、巡り巡って株価にもマイナスになる可能性もあり、この辺りの影響は見ていく必要はあると思いますが、端的にはやはりプラスだと思います。
化石燃料の復活:エネルギー会社や米国経済にプラス
環境への影響をどう考えるかという部分はありますが、株価という点で見ると純粋にプラスです。
もちろん、企業によってプラスマイナスはあります。
例えば電気自動車をやっている会社にとっては必ずしもプラスになりません。
ただ、今回の政権にはイーロン・マスク氏が入るとされていて、これがどう作用するかは分からない部分もあります。
アメリカには石油関係の企業も多く、ポジティブに働くでしょうし、アメリカが産油国になって石油を輸出するようになったり、自国で石油をどんどん使えるということになれば経済もまわりやすくなるでしょう。
雇用が増えることも考えられます。
<紛争解決:インフレ解消へ>
ウクライナ紛争でロシアから欧州に天然ガスを輸出できなくなったことによって、原油価格が上がりました。
また、中東情勢が悪化して、アラビア半島の西側にある紅海が通れなくなっています。
それによって回り道を余儀なくされ、輸送にお金がかかっています。
これがインフレの要因になっているのですが、中東の紛争がおさまって紅海が自由に通れるようになれば、コストプッシュ型のインフレは収まってくるのではないかと思います。
今アメリカで問題になっているのがインフレであり、インフレが和らげば人々の財布の紐も緩むかもしれませんし、株価の不安定要因になっている金利も引き下げる余地が出てくると考えられます。
<不法移民排除:インフレの可能性>
民主党政権では不法移民でもどちらかというと保護しようという流れだったのですが、これが入ってこないようにするようです。
ただこれはアメリカ経済を考えると難しいところがあります。
アメリカ経済はこれまで実は移民によって成り立っていた部分があります。
メキシコからの(不法)移民は安い賃金でも働きたいということで、安価な労働力の供給源となっていて、それによって安い商品が提供できていたところがあります。
これができないということになると、労働力が足りなくなります。
コロナの時にインフレが加速した大きな要因は賃金の上昇です。
コロナで従業員を一斉に解雇して、経済が正常化してから従業員を呼び戻す必要がありましたが、労働者が給付金などで潤っていてなかなか労働市場に戻ってきませんでした。
企業は時給を上げてでも彼らを呼び戻す必要があり、賃金を上げた分は商品価格に上乗せするしかありませんでした。
こうしてインフレが加速してきた経緯があります。
物価が上がったことによって賃金上昇が求められるようになった日本とは逆の動きです。
労働力が不足するとまた物価が上がる可能性があり、物価が上がるとFRBが金利を引き上げる動きとなって、株価が厳しくなってもおかしくないと思います。
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