出社回帰の流れを背景に、オフィスの環境整備に資金を投じる企業が増えているという。出社を求める企業が増加していることで、あらためてオフィスの重要性が見直されている。オフィス環境の整備・向上に関わる代表的な企業を挙げておく。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
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プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
注目度が高まるオフィス環境の整備・向上に関わる企業
出社回帰の流れを背景に、オフィスの環境整備に資金を投じる企業が増えているという。出社を求める企業が増加していることで、あらためてオフィスの重要性が見直されている。
森ビルの調査によると、従業員300人以上の企業のうちオフィスの環境づくりに向けた支出が「増加した」と回答した企業は53%。従業員のエンゲージメント(働きがい)を高めるため、オフィス拡張や設備充実に向けた動きが相次ぎ、オフィス県境の整備に関わる企業には追い風となっている。
コロナ禍でのリモート対応が一段落して、最近は従業員同士のコミュニケーションやエンゲージメントの向上に課題を感じている企業が増えている模様。オフィスは出社した従業員の生産性や創造性を高める役割が強まり、コミュニケーションのためのスペース・設備を充実させるビルも増えているという。
以下に、オフィス環境の整備・向上に関わる代表的な企業を挙げておく。
コクヨ<7984>
「Campusノート」などの紙製品をはじめとする文房具、デスクや椅子などオフィス向け家具などを製造・販売。オフィス用品通販の「カウネット」やインテリアショップ「ACTUS(アクタス)」なども手掛ける。10月には、オフィスビルをリノベーションするサービスもスタート。これまでは主にオフィスの内装や設計をフロアや部屋単位で手掛けてきたが、エントランスから屋上までビル全体のリノベーションに事業領域を広げる。
足元は、主力のオフィス家具や文具で中国の市況悪化の影響を受けるものの、国内はオフィス家具の改装案件が大都市から地方に拡大。2024年12月期は、売上高が前期比2.8%増の3,380億円、営業利益は同9.8%減の215億円、純利益は同12.2%増の214億円と過去最高を更新する見通し。
25年12月期は新築ビルの増加による移転需要が堅調に推移すると見込まれる。
株価は、11月19日に年始来高値を更新してその後も高止まり。配当性向40%方針で予想配当利回りは2.7%前後と高めの水準。
2027年12月期を最終年とする3カ年の中期経営計画では、連結配当性向50%を目安として算出することを基本方針として掲げている。
オカムラ<7994>
オフィス家具業界のリーディングカンパニー。オフィス環境機器、商環境機器および物流システム機器の製造販売を手掛け、関連する物流・施工・サービス等を展開する。
働き方改革でレイアウト変更が全国的に活発化しており、主柱のオフィス家具は新築案件を軸に今期下期において大きく伸長。また、商環境機器はスーパーなどの改装意欲が強く、物流システムも人手不足を受けて堅調に推移する。
7月には、オフィス向け内装設計などを手掛けるシンガポールのDB&Bホールディングスを完全子会社化。同社が持つ東南アジア諸国連合(ASEAN)や中国の顧客網を活用し、アジアのオフィス家具市場を開拓する。
2025年03月期は、売上高が前期比6.4%増の3,175億円、営業利益は同3.1%減の233億円、純利益は同1.4%減の200億円を見込む。連結子会社化したDB&Bホールディングスの過年度のれん償却を販管費に一括計上したことが響く。
株価は、目下のところ2,000円前後でもみ合う展開。予想PER=10倍未満、予想配当利回りは4%台半ばとバリュエーション面で割安水準にあると考えられる。
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