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サムスンの敗北宣言と日本半導体の復活劇。経済の柱を失った韓国は急速に衰退へ=勝又壽良

日本の半導体産業は、日本製造業の歴史から分かるように、高い品質と生産効率の追求が求められてきた。そのため、技術開発とともに、歩留まりを如何に向上させるかが、企業戦略の重要な柱の1つとなっている。先端技術を駆使した製造プロセスの最適化、微細な欠陥を検出するための高度な検査技術の開発などが挙げられる。

ラピダスは、「2ナノ」操業開始1年で80~90%の歩留まり率が見込める状況だ。前工程と後工程を全自動化できた結果である。この事実が、世間ではまったく知られていない。TSMCの歩留まり率を抜く見通しであることが、さらに正しい「ラピダス認識」を妨げている。TSMC幹部ですら、ラピダスを「実験企業」程度で軽視しているから驚く。かつてのサムスン同様に、TSMCもすでに「天狗」になっている気配だ。

要約すると、日本半導体は重電機や通信機のメーカーが手がけた関係で、高い品質と生産効率の維持を最大の目標にしている。サムスンには、幅広い製造業発展の歴史がない韓国という「荒野」の中で、ぽつんと始まった企業だ。関連産業が皆無である。日本は、半導体製造装置・素材など関連産業がワンセット揃っている。半導体製造の環境が、まったく異なるのだ。

こうした良好な環境から生まれた日本半導体と、関連産業のないサムスン半導体では、製造環境が100%異なる。サムスンは、製造業の歴史のない韓国で、宿命的ハンディキャップを背負っていたのである。ただ、残念ながらその自覚がなかったのだ。

サムスンが、非メモリー半導体を諦めざるを得ない背景には、韓国経済の前近代制が抱える限界による面も確かにある。TSMCは、このことに気づき日本へ接近して熊本工場を建設。筑波に研究所まで開設済みである。日本製造業が、蓄積する高い成果を利用しようとしているのだろう。IBMも日本製造業の高い水準を理解して、「2ナノ」技術をラピダスへ移植した。

日本半導体復活への証

日本の半導体技術は、違法な形で朝鮮半島へ渡ったが、サムスンの「技術の壁」により非メモリー半導体への進出が困難である。代わって、ラピダスが日本半導体栄光の歴史を引き継げる形となった。この現実は、日本国内ですら白眼視されている。

私が毎日、執筆しているブログに対してすら無理解な投書が寄せられている。日本が半導体で失敗したことから「再起不能」と思い込んでいるのだ。この理由の一半は、財務省筋が財政資金によるラピダス支援を快く思わず、一般メディを「洗脳」しラピダス失敗説を流布している結果であろう。

技術の世界は、こうした世評の思い込みで影響を受けるものではない。日本製造業の持つ厚い研究蓄積を母体に、日本政府支援という「信頼感」が支えになって、内外の半導体研究陣が、ラピダスへ結集している。世評は、この現実を見落としている。

そこで先ず、IBMが日本へ「2ナノ」技術を移転した背景を見ておきたい。これによって、日本半導体技術「健在」が理解できるであろう。

Next: サムスンの事業部長が敗北宣言?TSMCも日本を軽視していたが…

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