最近DeepSeekというものがリリースされたみたいだけど「DeepSeekってなに?」と疑問に思いますよね。また、DeepSeekの登場によって「エヌビディアの時代が終焉を迎えるのでは?」と囁かれています。そこで今回は、つばめ投資顧問がDeepSeekとはなにか?という疑問からなぜエヌビディアの時代が終わるかもしれないと言われているのかについて解説します。また、DeepSeekの登場による半導体業界への影響についても紹介しますのでぜひ最後までご覧ください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
DeepSeekとは?
DeepSeekは2025年1月20日にリリースされたAIサービスですが、日本ではあまり聞きなれません。
そこで、まずはDeepSeekの概要について解説していきます。
ここで紹介する内容は、以下のとおりです。
- DeepSeekとは?
- DeepSeekの特徴
- DeepSeekの懸念点
それぞれ解説していきます。
<DeepSeekとは?>
DeepSeekとは、中国の会社が作った新しい人工知能です。
「ディープシーク」と呼びます。
イメージとしては、OpenAIのChatGPTと横並びとなるソフトウェアをイメージするとわかりやすいでしょう。
DeepSeekは、計算する時に「計算に必要な部分だけ」を稼働させる仕組み(MoE技術)を取り入れているので仕事が速くて低コストなのが特徴です。
DeepSeekの用途はChatGPTと同じですが、計算や論理など特定の分野に関してはChatGPTを上回るほどの数値的なスコアを残しています。
アメリカでは、DeepSeekのアプリがダウンロード数ナンバーワンになっていてかなり注目されています。
<DeepSeekの特徴>
DeepSeekの一番の特徴は、低コストで生み出されたことです。
DeepSeekが低コストで開発できた理由は、新ではない低スペックの半導体を使ってできたためです。
中国は、アメリカから安全保障上の問題で半導体の輸出を一部禁止されています。
たとえば、微細で処理能力の高い最先端の半導体が規制の対象です。
そのためエヌビディアの最先端の半導体を使えなかったことから、工夫を重ね最小限のスペックでDeepSeekの開発を成功させました。
DeepSeekの最大の特徴として押さえておきたいのは、低価格で開発できたということです。
これが、今後のエヌビディアやAI市場に大きく関わります。
<DeepSeekの懸念点>
DeepSeekの懸念点として、中国企業なので中国の政府にとって都合の悪い情報を出さないなどユーザーファーストではないサービスの可能性があります。
また、情報を抜き取られる可能性も少なくありません。
他にも、OpenAIのChatGPTのシステムに接続して仕組みを盗用していたという噂もあるなど利用するには少し不安な点があります。
エヌビディアとはどんな会社?
DeepSeekの登場により、エヌビディアの時代が終わるのではと囁かれています。
ここでは、なぜDeepSeekの登場がエヌビディアにとって都合が悪いのかについて解説します。
ここで紹介する内容は以下のとおりです。
- エヌビディアは半導体を作っている企業
- エヌビディアの株価
- なぜエヌビディアの株価は下がるのか
それぞれ解説していきます。
<エヌビディアは半導体を作っている企業>
まず、エヌビディアについておさらいしておきましょう。
エヌビディアとは、半導体を作っている会社です。
2025年1月30日時点で、時価総額ランキング3位の大企業です。
エヌビディアはGPUといって、映像やグラフィックの処理で使う半導体を製造しています。
もともとエヌビディアは、ゲームや自動運転に必要な半導体を作っていました。
そこでGPUがAI開発にも応用できると考えられ、研究を重ねできたのがChatGPTです。
AIが便利なことが世界で知れ渡り流行りましたが、AIを開発するためにはエヌビディアのGPUが必ず必要となります。
ただ、エヌビディアが製造するGPUはつくるのに時間がかかります。
すぐに需要を満たせないので、需要と供給の関係でGPUの価格がどんどんあがっていきました。
このことから、時価総額がかなり大きな会社であるにもかかわらずAI業界への期待もありエヌビディアの業績が青天井に上がっていきました。
ですが、DeepSeekの登場により、エヌビディアに陰りが見えはじめます。
エヌビディアの株価
エヌビディアの株価を見ていきましょう。

エヌビディア<NVDA> 15分足(SBI証券提供)
DeepSeekの登場で、エヌビディアの時価総額が1日で約90兆円失われました。
2025年1月30日現在ですが、過去5日で14.6%下落しています。
ですが、PERで見ると4、50倍とそこまで高くなかったため株価としてはすでにDeepSeekの発表を織り込んでいたようです。
つばめ投資顧問の見解では、すでに今後に起こりえるエヌビディアへの影響を十分織り込んでいると考えています。
株価は一時的に下げていますが、弱い投資家の投げ売りで今のところ大きな下落に繋がるとは考えていません。