なぜエヌビディアの株価が下がるのか
DeepSeekの登場でなぜエヌビディアの株価が急落したのかというと、DeepSeekのように安い半導体でAIが開発できてしまうと判明したからです。
先ほども解説したように、AI開発にはエヌビディアのGPUが必要な状況だったため独占状態でした。
ところが、DeepSeekの登場で低スペックの半導体でも高性能なAIを開発できるとわかったので、今後エヌビディアの売上が下がると予想されたことから株価は下落したようです。
これまでエヌビディアは独占だったので、価格もつけ放題でかなり高額な金額設定でした。
ですが今後は、エヌビディアが値段を上げれば上げるほど安い半導体でAI開発に取り掛かる流れができるでしょう。
このことから、これまですごい勢いで売上や利益を伸ばしてきたエヌビディアの1強時代が終わることが危惧されています。
ですがつばめ投資顧問の見解としては、今後もエヌビディアの半導体が使われ続けるということは間違いないと考えています。
なぜなら、ハイスペックなAIを開発しようと思うとエヌビディアのGPUが必要になってくるからです。
そのため需要が途絶えてしまうことはなく、必要に応じて使われていくと思っています。
DeepSeekの登場は半導体業界に好影響
DeepSeekの登場は、エヌビディアにとってネガティブなニュースとなりました。
エヌビディアは時価総額がかなり大きく、「半導体業界に大きな影響を与えるのでは?」
と不安になりますよね。
ですがつばめ投資顧問は、DeepSeekの登場は半導体業界にとって好影響だと考えています。
その理由について解説していきます。
<AI市場の拡大を阻むであろうネックが解消される可能性がある>
これまでAI市場の未来を考える際、市場拡大を阻む原因としてAIサービスの利用料が高いという大きなネックがありました。
値段が高いといくらAIが高性能だとしても、お金を払ってくれる人がでてきません。
そうなると、ビジネスとして成り立たなくなるという問題がありました。
実際ChatGPTは300ドル(45,000円、2025年1月現在)のプランがでていますが、利用する人は限られているでしょう。
OpenAIの創業者であるサム・アルトマンの発言ですが、300ドル(45,000円)のプランを使う人はChatGPT使用頻度がかなり多いそうです。
その背後では、かなりの電力コストがかかってしまい結局高いプランでも赤字だということを明かしていました。
とはいえ、これ以上サービス料が高くなると消費者のお金が続かないことが想像できると思います。
これが、AI市場が拡大する上での最大のネックでした。
ですがDeepSeekは、現在無料で高性能なサービスを提供できています。
このことを考えると、今後いいサービスが低コストで開発されると想定されるため将来のAI市場はさらに成長していくことが考えられます。
<AIサービス普及の後押しになる>
DeepSeekの登場は、AIサービスの普及の後押しになると考えています。
DeepSeekの開発方法を取り入れると、これまでと比べものにならないくらい安価でのAI開発が可能です。
DeepSeekは性能の低い半導体を使用していますが、必要に応じて省エネしながらAIを稼働させていくのでランニングコストもかなり抑えられます。
そのため、AIを稼働させる際にネックとなる電力量の問題も少なくて済みます。
すると、先ほど紹介した現在45,000円かかるレベルのサービスを安価で提供するような会社がでてくるでしょう。
そうなると、利用するユーザーが増えるのでさらにAIサービスが普及していくと考えられます。
またAIを開発する方にとっても開発方法の幅が広がったため、さらにいいAIを開発できることが期待できます。
<半導体業界の勢力図は変わる可能性がある>
DeepSeekの登場で、半導体業界の勢力図が変わる可能性があります。
エヌビディアで製造しているGPU以外の、半導体の需要が増える可能性が高いからです。
たとえば、アメリカの半導体会社であるAMDが開発したものでもAI開発できるかもしれませんし、新興企業がAI開発に適した安価な半導体を作るかもしれません。
このように、エヌビディアのGPUの需要が分散化され、勢力図の変化が予想されます。
この流れからも、AI市場の拡大が続けば時間とともにエヌビディアの力は弱まる可能性があることも頭の片隅に置いておかなければいけません。