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「イングランド銀行を打ち負かした男」ソロスがもたらした幻想=近藤駿介

想定より早まったポジションの巻き戻し、ポンド売りは全員含み損

そこに起きたのは、「残留派」であったジョー・コックス下院議員の殺害事件。この不幸な出来事によって、本来国民投票日まで温存される可能性のあったポジションの巻き戻しが起こってしまった。コックス下院議員殺害事件以降、「残留派」が優勢になるという思惑がポンドの買い戻しを誘い、約3.5%上昇して来ている。

直近のポンドは1.47$付近と、今年の最高値水準まで戻している。これは、「イングランド銀行を打ち負かした男」の登場によって盲目的にポンド売りに走った全ての投資家が損失を抱えていることを意味するものでもある。

英国がEU離脱に向かうことになった場合、金融、経済の両面で混乱が起きることは想像に難くない。しかし、それは「不確実性」の範囲であり、「英国経済が打撃を受ける」というものであるとは限らない

専門家の間では、もし英国がEU離脱を選択した場合、他のEU加盟国に連鎖することを懸念する声も上がっている。しかし、これはEU離脱とユーロ離脱の違いを無視した指摘である。

ユーロ採用国でない英国のEU離脱の影響は、言われているほど大きくないと同時に、ユーロ採用国のEU離脱の連鎖を招く可能性は低いはずである。

「残留」決定時の反応が大きくなる可能性

金融市場は23日に実施される英国の国民投票の結果を固唾をのんで見守っているが、市場への影響という観点では、「離脱」が選択された場合の反応より、「残留」が選択された場合の反応の方が大きくなる可能性があることは念頭に置いておくべきかもしれない。

【関連】すんなり上がるわけがない。英国民投票で最初に試される東京市場=E氏

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近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2016年6月22日号)より
※記事タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による

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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動してきた近藤駿介の、教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝えるマガジン。

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