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新規上場「JX金属」は買い?なぜENEOSから独立?長期投資家が注視すべき将来性と投資リスク=栫井駿介

JX金属のバリュエーション分析

ここでは、JX金属のバリュエーションについてみていきます。

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今後、JX金属に投資しようと思う方は参考にしてみてください。

<JX金属PER>

JX金属のPERは16.4倍となっており、高くもなく低くもない普通の水準です。
化学メーカーに近い業種として見ると、好況期には高利益を上げる一方で不況期には赤字になるケースもあるので通常はPERが低く評価される傾向があります。
そのため、JX金属のPERは10倍前後であることが妥当との見方ができます。
この観点から見ると、JX金属はやや割高感があるかもしれません。
しかし、高い技術力を持ち半導体向け製品を提供する企業として評価すれば、妥当な水準とも考えられます。
総合的に見れば、JX金属の株価は極端に割高でも割安でもないと評価できるでしょう。

<JX金属の配当利回り>

JX金属の配当利回りは10.81%となっていますが、この配当利回りは実態を反映していません。
これは一株当たり配当予想103.55円を現在株価で割った数字ですが、すでに第3四半期時点で91.55円の配当が上場前に親会社であるENEOSグループへ支払われています。

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つまり、新規株主が実際に受け取れるのは残りの12円のみです。
株価1,000円と仮定すると、実質的な配当利回りは約1.2%程度にすぎません。
表示されている10%超の高配当を期待して購入すると、実際には10分の1程度の配当しか受け取れないので注意が必要です。

まとめ

今回はJX金属について解説しました。
JX金属は2025年3月にENEOSから分離上場した企業で、半導体材料・情報通信材料・基礎材料の3セグメントを展開しています。
特に半導体材料セグメントでは、スパッタリングターゲットで世界シェア6割以上を誇り、将来の成長が期待されています。
現状では基礎材料部門が最大の収益源ですが、投資を考える際は資源価格の変動に左右されるリスクがあることを理解しておくのがいいでしょう。


(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


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image by: IgorGolovniov / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年3月30日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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