個人投資家が学ぶべき教訓:どうすればリスクを見抜けるか?
今回のオルツ社のケースから、個人投資家が今後同様の事態を避けるために、何を注意すべきでしょうか。
表面的なブランドや評価に惑わされない
J-StartupやEYといった権威ある賞の受賞歴や、有力ベンチャーキャピタルからの出資は、あくまでその時点での評価であり、実態を保証するものではありません。オルツ社のように、華々しい経歴の裏で問題が起きている可能性もあります。
表面的な情報だけでなく、企業の実態を自分の目で見て、納得して投資することが重要です。
ビジネスモデルの実態を確認する
AI議事録サービスのように、既存の競合サービス(Zoom, Google Meetなど)と比べて明確な優位性があるか、市場に本当に需要があるかなど、ビジネスモデルが本当に成り立っているのかを深く考える必要があります。
特にAI関連分野は、GoogleのnotebookLMのように簡単なツールでも議事録化できる時代であり、大手企業も参入している”レッドオーシャン”です。差別化が難しく、多くの企業が乱立している状況です。
オルツ社が謳っていた自社LLM(大規模言語モデル)についても、大手企業が多大な資金と頭脳を投入して開発している中で、新興企業がそれらに勝てるか冷静に考える必要があります。普通に考えれば、基本能力が違いすぎる中で新興企業が勝つのは難しいと思えるでしょう。
このAI分野の事業環境はChatGPTの登場などで大きく変わりました。オルツは上場するなら、AIブームの今しかなかったのかもしれません。
赤字企業への投資判断は慎重に
ベンチャー企業には、Amazonのように赤字が続いても将来的に大きく成長する可能性を秘めた企業もあります。
しかし、赤字である以上、ビジネスモデルや商品のクオリティ、そして経営者など、業績以外の部分でそれを補うだけの強みがあるかをより慎重に見極める必要があります。
オルツ社の場合、ビジネスモデルに優位性を感じにくい、内部からは経営者に否定的な声が聞かれるなど、投資する理由が見出しにくい部分があります。
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