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黒字でも1万人リストラ「パナソニックHD」は買いか?投資判断のカギを握る3つのポイント=澤田聖陽

中期計画は大きく未達

同社は2022年度(2023年3月期)から2024年度(2025年3月期)の中期計画で累積営業キャッシュフロー2兆円、ROE(自己資本利益率)10%以上、累積営業利益1.5兆円という目標を掲げていたが、営業キャッシュフロー以外は未達となった。

2025年3月期のROEは7.93%となっている。

ここで電機7社のうち、すでに2025年3月期決算を発表している日立製作所(日立)の業績と比べてみたい。日立の2025年3月期の決算数値は、以下のとおりである。

<日立 2025年3月期の決算数値>

売上:9,783,370百万円(前年同期比0.6%増)
営業利益:971,606百万円(前年同期比0.6%増)
税引前当期利益:962,733百万円(前年同期比16.6%増)
親会社株主に帰属する当期利益:615,724百万円(前年同期比4.4%増)

パナソニックHDと日立の営業利益率とROEを比べてみると、以下のとおりとなっている。収益力を見ると、パナソニックHDはかなり劣っている状況である。

パナソニックHD:営業利益率 5.04%, ROE 7.93%
日立:営業利益率 9.93% ROE, 10.7%

また両社の時価総額(2025年5月12日終値時点)は以下のとおり。時価総額では4倍以上の差がついてしまっている。

パナソニックHD:4,177,468百万円
日立:17,574,771百万円

ソニーグループの時価総額も約22兆円あり、電機セクターの中では投資家はパナソニックHDをかなり厳しく見ているのが現状だ。

固定費の重さとコングロマリット・ディスカウント

同社は同業他社に比べて固定費負担が重く、今回の人員削減等の改革によって2026年度(2027年3月期)には1,500億円以上、2028年度(2029年3月期)には3,000億円以上の収益改善効果を目指すとしている。

パナソニックHDは典型的なコングロマリット・ディスカウント(多角化していることによりマーケットで低い評価を受けている)の状態である。

日立もソニーもグループでかなり多くの事業を行っているが、ソニーはCMOSセンサーやコンテンツ事業などの強い分野が明確だし、日立はビジネスやデジタルシステム&サービス、グリーンエナジー&モビリティ、コネクティブインダストリーズの3つの分野に事業ドメインを集中していっている。

それに比べてパナソニックHDの方針は、投資家から見ると曖昧さを感じる。それが時価総額という評価に表れている。

Next: リストラは遅きに失した?パナソニックはどう生まれ変わるのか…

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