トランプ米大統領が日本に対し「自動車関税25%」を示唆する書簡を送ると表明しました。一見すると日本の自動車産業には大打撃に見えるが、現在の円安水準(1ドル=144円台)を考慮すると、実質的な影響は限定的となる可能性があります。むしろ浮き彫りになるのは、円安で輸出大企業が恩恵を受ける一方、国民生活の向上が置き去りにされてきた日本経済の構造的問題でしょう。(『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』児島康孝)
※有料メルマガ『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』2025年6月30日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
トランプ関税、日本の自動車関税は「25%」か
時事通信によりますと、米大統領は日本に「自動車関税は25%」とする書簡を送ることができると表明しました。
※参考:【速報】米大統領は日本に「自動車関税は25%」とする書簡を送ることができると表明した – 時事ドットコム(2025年6月30日配信)
日本の自動車の対米輸出は、25%の「トランプ関税」で決着する見通しとなってきました。
25%の関税というと大騒ぎになりそうですが、6月30日(月)日本時間の午前6時30分現在、ドル円の為替レートは「1ドル=144円台」で推移しています。
ということは、円安の影響が「相当ある」という感じです。
例えば、日本車1台が3万ドルとすると…
日本車1台が3万ドルとすると、1ドル=110円の場合は、330万円です。
110円というのは、最近30年ぐらいの感覚では「円安でも円高でもない」という感じです。
2025年6月30日の為替相場「1ドル=144円台」でざっと計算しますと、3万ドルは432万円です。
トランプ関税が「25%」とすると、3万ドルの25%は、7,500ドル。
値上げしないで、そのままの計算でも、関税を引いて、2万2,500ドル。1ドル=144円なので、324万円です。
トランプ関税が25%で適用されても、円安の影響がかなりあるので、1ドル=110円の頃とあまり変わりない……ということになります。
いびつな日本の構造
現状では、日本国民の生活を破壊するほどの大幅な円安になれば、巨大な輸出企業は大幅な為替益を得る……といういびつな構造があります。
つまり、日本政府は、主に「大企業」が対象となるトランプ関税には大慌てなのですが、「日本国民」の生活レベルの低下は、長年、放置してきました。
本来ならば、日本の国民生活を向上させて、景気を良くするべきでしょう。しかし、これだけ貧困化が進んでも、慌てて取り組む様子はまったくありません。
そういう面では、日本国民を貧困化させて、為替レートを円安にし、輸出大企業に巨額の為替益を発生させるという構図が、今回のトランプ関税で見直されることになります。
<初月無料購読ですぐ読める! 6月配信済みバックナンバー>
※2025年6月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
- 新燃岳の噴火は、東日本大震災の前にも起きていた(6/27)
- イスラエルとイラン双方の「ジレンマ」とは(6/20)
- イスラエルがイラン核施設などを攻撃(6/13)
- 米中首脳が電話会談、前向きなのか、停滞なのか真相わからず(6/6)
※有料メルマガ『「ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!」連動メルマガ』2025年6月30日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>
※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込330円)。
- トランプ大統領とパウエルFRB議長が会談、利下げ求める(5/30)
- JA全農は、高値販売が利益となるのだから、備蓄米の放出先としては不適当(5/23)
- 日本国民を素通りするマネー。実質GDPは、マイナスに(5/16)
- 米英が関税交渉で合意。米国は新たな財源を活用へ(5/9)
- 印パ情勢緊迫の背景に、ムンバイ同時多発テロと列車爆破事件(5/2)
- 基調としてのドル高の時代は、まだ続くだろう(4/25)
- 米国債が「トランプ関税」の重要な判断ポイントとなった背景とは(4/18)
- 乱高下の株式市場への対処法とは(4/11)
- メディアは大騒ぎの「関税」。何か困ったことある?(4/4)
- ミャンマーでM7.7地震、タイ・バンコクでも被害(3/28)
- ゴールドは、さらに輝きを増すのか?(3/21)
- 石破政権、景気対策不発のまま政局入りへ(3/14)
- トランプ大統領がドル円に「注文」。言われなくても、内需振興策に転換すべき(3/7)
- 米英は、関係を修復したようだ(2/28)
- 待ちに待った「デフレ脱却」だが、景気や雇用の明確な改善には時間差(2/21)
- BBCは、関連団体でUSAIDから約5億円。メディアが歪む構図とは(2/14)
- トランプ政権の「大掃除」で、アメリカの官僚機構は激変へ(2/7)
- 欧州の景気が良くない。ドイツの政治に注意(1/31)
- フジ系列の社長には、制作会社や広告代理店の社長向きの人も目立つ(1/24)
- フジテレビ関連への投資は、極めてリスク高い(1/17)
- やはり、米国雇用統計は強く、プラス25万6000人(1/10)
- 新年の日経平均先物は、約600円下落で推移(1/3)
- 12月の都区部の消費者物価指数はプラス2.4%(12/27)
- 強すぎる米ドルで、ブラジルは通貨危機に(12/20)
- 日銀が12月会合で利上げを見送るとの見方強まる(12/13)
- 今年も感謝祭の前から、ドル円は波乱模様(12/6)
- シリアでアサド政権と反政府軍の攻防が激化しているという(11/29)
- ウクライナが長距離ミサイルを発射したが、射程距離は500キロ程度までという(11/22)
- ドル高の背景に、アメリカが巨大な産油国となった事実(11/15)
- 米国大統領選挙はトランプ氏が勝利、スマホやSNSが援軍に(11/8)
- 国民民主党の議席増、背景に玉木代表のSNS活用(11/1)
- 北朝鮮のウクライナ派兵、米中は把握せずか?(10/25)
- ECB連続利下げの背景に、ロシアとの実質戦争状態(10/18)
- ようやく軌道に乗った日銀の金融緩和。実質金利はマイナスに(10/11)
- アメリカ大統領選挙を前に、軍事的な緊張高まる(10/4)
『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2025年6月30日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』連動メルマガ
[月額330円(税込) 毎週金曜日]
日本に影響を与えてきた欧米勢の勢力図が変化し、国際情勢も激変の時期を迎えています。トランプ政権の前の欧米勢力は、日本の1990年のバブル崩壊以降、日本の衰退を狙ってきました。超長期の経済サイクルである、コンドラチェフ・サイクルが、戦後最悪の大底でもあったことから、日本経済はデフレに陥り、低迷したままであったのです。ところが、トランプ政権の誕生以降、欧米勢の勢力は変化し、日本の今後も、大きく変わろうとしています。このメルマガでは、有料読者に限定して、ちょっと書きにくい話にも踏み込んで、欧米勢の動きをお伝えします。