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ついに楽天モバイル「黒字化」…長期投資家は買いか?特殊指標で1億円を“ひねり出した”実態とは=佐々木悠

「三木谷大号令」と社員の並々ならぬ推進力

楽天モバイルの売上増加の大きな要因である契約者数の伸びは、2022年第2四半期の0円プラン段階的終了による契約者減からの巻き返しとして、「三木谷大号令」と呼ばれるトップダウンでの強力な施策があったことが報じられています。

報道によると、三木谷社長が年末に社員を集め、契約獲得が足りないとして、冬休みを利用して家族や友人から契約を取ってくるよう指示したとのことです。エンジニアや外国人社員を含む全社員に対し、1人あたりの契約目標(元々4契約だったものが5契約に)が課せられたとされています。

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これは、0円プラン終了による契約者減への強い危機感から、なりふり構わず契約増加に舵を切った楽天の動きを象徴しています。自社社員を通じたセールスだけでなく、楽天市場や楽天銀行などの既存ユーザー、さらには法人向け契約の獲得にも力を入れています。

かつてはポイント改悪や金融子会社の切り売りなど「解体」とも呼ばれる動きがありましたが、現在はそうした動きが見られず、契約者数を増やしているのは、「黒字であることを見せる」ことで資金調達における不安を払拭する狙いもあると考えられます。

<「気合と根性」の企業文化>

楽天の企業文化は、この楽天モバイルの立て直しにおいて大きな強みとなっています。OpenWorkなどの社員口コミを見ると、楽天市場で活躍していた社員が営業の最前線に配置され、「最後までやりきる」風土が醸成されていることが分かります。目標達成への意欲が高く、「とにかくスピード重視、質に関してそこまで問われない」という環境で、社員は常に行動しながら考えていくことが求められます。

三木谷社長の「気合と根性こそ成功の絶対条件」という言葉は、この文化をまさに表していると言えるでしょう。社員一人ひとりが「なんとしても楽天モバイルをどうにかするんだ」という強い意志を持っていることが感じられます。

しかし、OpenWorkの回答者には、在籍3年未満や3〜5年で退職した方が多く、新卒で短期間で退職するケースも多いことから、非常にタフな環境であることも示唆されます。

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この「気合」で売上を伸ばしてきたことは確かに驚異的ですが、アナリストは「この頑張りを、もしフィンテックやインターネットサービスといった利益率の高い事業に投入していれば、もっとすごいことになっていたかもしれない」とも指摘しています。楽天グループ全体で見ると、インターネットサービスやフィンテックは順調に成長し、利益を稼いでいるものの、モバイル事業の赤字が重荷となっているのが現状です。

Next: 楽天グループは買いか?現状では割安とは言えないが…

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