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米国で大躍進「ラウンドワン」長期投資家は買い?ヘッジファンドが株価3倍を予測…今後の成長戦略とリスクを徹底分析=佐々木悠

【日本で培った「運営ノウハウ」の活用】
日本のラウンドワンは、かつてゲームセンターが「ヤンキーのたまり場」といったネガティブなイメージを持たれることもありましたが、近隣住民への説明会などを通じて「危なくない施設」であることをアピールし、地域に受け入れられるよう努力してきました。家族連れなども増え、特にコロナ禍以降はアニメ人気も相まって、幅広い層が利用する健全な場所へと変化しました。この「きめ細やかな運営ノウハウ」をアメリカでも生かすことで、荒れることなく健全な遊び場として定着させようとしているのです。

【アメリカの不動産会社との良好な関係構築】
ラウンドワンがこれだけの大型スペースを確保できるのは、アメリカの不動産会社との関係構築が非常にうまくいっていることが大きいと考えられます。特にコロナ禍でショッピングモールに空きスペースが増えた時期に、ラウンドワンのような大規模施設が入居することは、不動産会社にとっても大きなメリットがあった可能性があります。

 

これら様々な要素が複合的に組み合わさることで、ラウンドワンのアメリカ事業は今まさに花開いていると言えるでしょう。

今後の成長戦略と新たな挑戦

今後のラウンドワンの成長戦略としては、アメリカでの店舗数を継続的に増やしていくことが基本方針です。日本では店舗数を積極的に増やすことはせず、アニメ、VTuber、アイドルなどの様々なIPとのコラボレーションキャンペーンを積極的に行い、来店動機を作り出すことに注力しています。

ラウンドワンのユニークな点は、時間帯によって利用者層が異なることです。夜は大学生を中心とした若者が、日中はボーリングの大会や教室に参加するシニア層が、そして週末にはファミリー層が増えるなど、幅広い客層に対応できる特徴も持っています。

そして、今後の大きなトピックとして注目されているのが、「日本食プロジェクト」です。ヘッジファンドもこのプロジェクトに期待を寄せ、株価3倍の根拠の1つとしていました。

ラウンドワン<4680> 週足(SBI証券提供)

ラウンドワン<4680> 週足(SBI証券提供)

<新たな挑戦:日本食プロジェクト「ラウンドワンデリシャス」>

この「ラウンドワンデリシャス」は、日本の最高級の日本食(寿司、天ぷら、焼き鳥、創作日本料理など)の一流店舗とコラボレーションし、アメリカで出店するというプロジェクトです。社長の杉野さんがアメリカ視察時に「美味しい日本食がない」と感じたことや、日本を訪れる外国人観光客が予約困難な一流店を体験できない現状から、「日本で食べられないような店をアメリカに出そう」という発想で始まったとされています。

2023年にプロジェクトが始まり、同時に人材募集も行われました。料理学校を卒業した人や料理人の経験がある人を採用し、これらの人材は現在、日本の有名店で約1年間修行中です。今年の夏にはアメリカでのオープンが予定されています。

リスクと課題

しかし、ラウンドワンの今後の成長にはいくつかのリスクも存在します。

【日本市場の人口減少】
日本国内では人口減少が避けられない課題であり、ラウンドワンもこれを認識し、日本での店舗増加には慎重な姿勢を見せています。

【アメリカ出店コストの増加と金利上昇】
コロナ禍での居抜き出店は比較的低コストで可能でしたが、今後も同じペースで低コスト出店を維持できるかは疑問視されています。新規出店には多額のコストがかかり、財務的な負担が増大する可能性があります。さらに、アメリカの金利が上昇しているため、ドル建てでの借入れは金利負担が増えるリスクがあります。

【日本食プロジェクトへの懐疑的な見方】
「ラウンドワンデリシャス」については、業界の専門家から懐疑的な声も上がっています。

Next: 日本食プロジェクトは成功するか?長期投資のプロの判断は…

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