- 食事業の難しさ
- 経営資源の分散
- 社長の過去の発言との矛盾
- 都市部への出店
海外での食事業は現地化なしには成功が難しい傾向にあり、ラウンドワンには食に関するノウハウがありません。
会社本来の強みから大きく外れた事業に多額の資金や社長の経営資源が投じられることへの懸念があります。特に好調な時ほど、本来の軸から外れた事業に手を出しがちになるという経営の鉄則に反する可能性があります。
杉野社長は過去のインタビューで多角化には慎重な姿勢を示していましたが、今回の外食事業はこれと矛盾しているように見えます。
日本食プロジェクトはニューヨークなどの都市部の一等地への出店を想定しており、これはこれまでのアメリカでの成功要因であった「田舎」での展開とは異なります。
もちろん、社長自身は真剣にこのプロジェクトに取り組んでいるものの、投資家としてはこの新規事業の行方を慎重に見守る必要があるでしょう。
まとめ
ラウンドワンは、日本のアミューズメント施設がアメリカという海外市場で成功を収めている、非常に興味深い事例です。
特に、日本のIPを活用したアミューズメントの訴求力、現地の特性に合わせた戦略的な出店、そして日本で培われたきめ細やかな運営ノウハウが、その快進撃を支えています。今後は、アメリカでの事業をいかに現地の文化として根付かせ、継続的な成長を維持できるかが鍵となるでしょう。
一方で、リスクとして、日本市場の縮小、アメリカでの出店コスト増、そして新規事業である日本食プロジェクトの成否が挙げられます。特に日本食プロジェクトは、既存の強みと異なる分野での挑戦であり、今後の動向が注目されます。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年7月8日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。