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トランプ関税も追い風「トヨタ」株は今が買い?長期投資のプロが6つの視点で徹底分析=元村浩之

トランプ関税の影響:むしろ追い風に?

トランプ関税は自動車業界にとって大きな話題ですが、実はトヨタにとって「大したことない」どころか、むしろ「追い風」になる可能性も秘めています。

<米国と日本の自動車メーカーへの影響は限定的>

仮に25%の追加関税が課された場合でも、米国と日本の自動車メーカーへの影響は4%程度と小さいとされています。これは、日米のメーカーが米国での完成車生産比率が高く、また米国製の自動車部品を多く使用しているため、関税が除外される製品も多いからです。

一方で、韓国やドイツの自動車メーカーは、米国での生産比率が低く、米国産部品の使用も少ないため、関税による影響が15%から16%と非常に大きくなります。

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出典:strategy&

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<最近の進展:15%での合意>

実際に、7月23日にトランプ大統領が日本との関税が15%で合意したと発表しました。これは、当初の25%よりも低い税率であり、日本にとっては非常に良いニュースです。関税率が下がれば、米国と日本の関税率の差はさらに小さくなることが予想されます。

<米国市場での日本車の優位性>

現在の米国新車販売シェアを見ると、日本の自動車メーカーが全体の37.4%を占めており、ジェネラルモータース、フォード、テスラといった米国勢の合計(33%〜34%)を上回っています。

※参照:米国で販売した車の生産地の割合 2024年1月〜10月 – 読売新聞

さらに、テスラのようなEV優遇政策が縮小傾向にあるため、今後、日本車と米国車による競争がより激しくなるでしょう。日本の車は一般的に燃費が良く、価格も安い傾向にあるため、純粋なコスト面で考えれば競争力は非常に高いです。

<相対的な優位性>

今回の関税は、韓国やドイツの自動車メーカーにとって米国での販売がさらに困難になる状況を作り出す可能性があります。その分、日本メーカーや米国メーカーに需要が流れる可能性があり、結果としてトヨタにとって相対的な追い風となることが期待されます。

もちろん、関税そのものが消費者の購買意欲を削ぎ、短期・中期的に自動車全体の販売台数に影響を与える可能性は否定できません。しかし、その中でもトヨタは、米国での強い人気と、ハイブリッド車からガソリン車への柔軟な切り替え能力(例えば、プラグインハイブリッド車が関税の影響を受ける場合、ガソリン車を販売するなど)を持つため、この状況を乗り切れるでしょう。全体として見れば、今回の関税は、厳しいどころかトヨタにとって有利な道筋すら見せています。

Next: トヨタ株は割安?妥当?投資するなら、どんな社会情勢のときが最適か

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