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フジテレビ復活の日は来るのか?「フジ・メディアHD」第1四半期決算で見えた業績ダメージと希望=澤田聖陽

フジ・メディア・ホールディングス<4676>が7月31日に発表した2025年4~6月期決算は、不祥事による広告出稿見送りの影響で売上高が前年同期比10.4%減の1,161億円、営業損失127億円という厳しい結果となった。メディア・コンテンツ事業の大幅減収が響く一方で、都市開発・観光事業は好調を維持し、動画配信サービス「FOD」も順調な成長を見せている。広告依存モデルからの脱却が急務となるなか、同社の今後の戦略転換に注目が集まる。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2025年8月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

フジ・メディアHD、営業赤字120億円に業績予想を下方修正

7月31日、フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(フジ・メディアHD)は2025年4-6月期(第1Q)の決算を発表した。

決算数値は以下のとおりである。

売上:116,140百万円(前年同期比▲10.4%減)
営業損失:▲12,779百万円(-)
経常損失:▲10,656百万円(-)
親会社株主に帰属する四半期純利益:1,077百万円(前年同期比▲85.1%減)

セグメント別の売上、利益を見ると以下のとおりとなっている。

<メディア・コンテンツ事業>

売上:66,710百万円(前年同期比▲32.6%減)
セグメント利益または損失:▲20,396百万円(-)

<都市開発・観光事業>

売上:47,297百万円(前年同期比62.9%増)
セグメント利益または損失:8,366百万円(前年同期比117.4%増)

<その他事業>

売上:6,504百万円(前年同期比19.2%増)
セグメント利益または損失:349百万(前年同期比42.0%増)

引き続き不祥事による広告出稿見送りの影響で広告収入がネットタイム、ローカルタイム、スポットのいずれも大幅に減少したことが、大幅な減収原因の要因となっている。

同時に同社は5月16日に発表していた2026年3月期の業績予想を下記の通り下方修正した。

<5月16日時点での発表>

売上高:561,000百万円
営業利益:2,500百万円 
経常利益:7,100百万円 
親会社株主に帰属する当期純利益:10,000百万円

今回の修正予想

売上高:546,600百万円
営業損失:▲12,000百万円 
経常損失:▲8,500百万円 
親会社株主に帰属する当期純利益:10,000百万円

フジテレビの広告収入の回復が前回予想時点の想定を下回っていることが、下方修正の大きな要因である。なお有価証券の売却などにより、親会社株主に帰属する当期純利(最終損益)は据え置いている。

フジ・メディア・ホールディングス <4676> 週足(SBI証券提供)

フジ・メディア・ホールディングス <4676> 週足(SBI証券提供)

広告収入回復のスピードは?

民放テレビ局の収入はフジに限らず、広告収入への依存度が高い。

フジテレビは大きな問題を起こして、広告主の広告出稿見送りが続いていたわけだが、足元では広告再開の動きは出始めてはいる。

すでにサントリー、大和ハウス、明治ホールディングスなどが7月もしくは8月から広告出稿を再開すると報道されている。

これは6月の同社の株主総会でフジ・メディアHDの経営体制が刷新されたことを評価する動きである。

しかしながら動きは比較的遅く、広告主も他社の動きを見ながらというところだろう。

また同社へのテレビ広告自体は再開するとしても、金額が元の水準に戻るかどうかは疑問が残る。

そもそもテレビ広告は効果の検証がしにくく、テレビの視聴者の高齢化によって、企業が訴求したいF1層やM1層などに響かないという問題がある。

大量生産・大量消費の時代には最も効果があった手法かもしれないが、今の時代には効果が出にくくなっていることは事実だ。

例えばアパレルや化粧品などで、このような層に訴求するのはインフルエンサーマーケティングが最も有効であるという認識が拡がりつつある。

Next: 広告収入依存のビジネスモデルは限界。動画配信「FOD」は好調だが…

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