塩化ビニル樹脂事業の業績変動の幅が大きくなっている現状を鑑みると、もし信越化学がこれまでの「特別な化学メーカー」でなくなり、他の化学メーカーと同じような評価を受けるようになれば、株価もそれに合わせて変動する可能性があります。
一方で、半導体関連事業は依然として非常に好調です。今回の決算での利益減少も、半導体関連事業自体は堅調であり、為替の影響が主な要因であったと信越化学も明言しています。半導体市場は拡大が続くと見込まれるため、この事業が信越化学の評価を支える要因となるでしょう。
まとめ
信越化学の今回の決算は、為替と市況の悪化、特に米国住宅市場の低迷と中国からの供給増が影響したことが明らかになりました。しかし、同社の最大の強みである「顧客との親密な繋がり」は、景気変動リスクに強い企業体質を築き、高付加価値品の開発にも繋がっています。
一方で、金川元会長のリーダーシップで培われた企業文化が今後も維持されるのか、また、塩化ビニル樹脂事業の市況変動がこれまで以上に激しくなるのかどうかは、今後の信越化学の評価を左右する重要なポイントとなります。半導体関連事業の好調さは引き続き期待できますが、塩化ビニル事業の動向には引き続き注目が必要です。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年8月7日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。