fbpx

なぜ「日清食品」株価半減?米国での急成長と失速…どこで東洋水産と差が付いたのか=栫井駿介

<日清食品と東洋水産(マルちゃん)の比較>

現在の状況を比較すると、海外事業、特に米国市場では、先行者である日清食品よりも、東洋水産の方が現状「うまくやっている」と言えます。

  • 経営数値
  • 東洋水産はROEが高く、規模も大きいなど、全体的に優秀な部分が多い。

  • 安定性
  • 東洋水産は低価格層に焦点を当てているため、景気変動に強く、業績が安定しやすい。

  • 株価評価
  • 東洋水産のPERは16倍と、日清食品の14倍よりやや高いですが、市場平均レベルであり、今後の米国即席麺市場のさらなる活性化を考えると、40%ものシェアを持つ東洋水産には大きな成長余地があります。

東洋水産<2875> 月足(SBI証券提供)

東洋水産<2875> 月足(SBI証券提供)

日清食品は「東洋水産よりダメ」なのか?未来への期待

では、日清食品はもうダメなのでしょうか?私はそうは思いません。

<「アイデア勝負」の企業文化>

日清食品は、吉田沙保里さんを起用したCMや「カレーメシ」「完全メシ」といった独創的な商品開発・マーケティングで、常に消費者の注目を集める「アイデア勝負」の企業です。日本国内では、この戦略が非常にうまくいっています。

<米国での再成長の可能性>

米国での一時的な失速は、景気の弱含みが主な要因であり、日清食品が米国市場から嫌われたわけではありません。

もし今後、景気が回復し、プレミアム商品の需要が再び高まれば、利幅の大きい商品が売れることで、売上以上の大きな利益成長を遂げる可能性があります。

過去に米国事業で利益が10倍近くになったように、再びそのような「ボカンと伸びる」ような爆発的な成長を期待できる側面も持ち合わせています。

<投資の魅力>

東洋水産が安定志向であるのに対し、日清食品は「ワンチャンすごい伸びる」というアップサイドの魅力があります。

現在の株価下落は、将来の成長を見込む投資家にとって、仕込み時と捉えることもできるでしょう。長期的に見れば、日清食品と東洋水産の株価は似たような推移をたどることもあり、ここから盛り返す可能性は十分にあります。

まとめ

日清食品と東洋水産は、同じ即席麺業界の企業でありながら、それぞれ異なる特徴を持っています。

  • 日清食品
  • アイデアとマーケティング力でプレミアム層を開拓し、景気回復時には大きな利益成長を期待できる「攻め」の企業。現在の株価下落は、将来への投資機会と捉えることも可能。

  • 東洋水産
  • 低価格帯での安定したシェアと高い利益率を誇り、景気変動に強く安定した業績が期待できる「守り」の企業。

どちらの企業に投資するかは、ご自身の投資戦略や期待するリターンによって異なります。日清食品の現在の株価は、その特徴と未来への可能性を考慮すると、決してネガティブな状況一辺倒ではないと言えるでしょう。

投資は、このように企業の特性を深く理解し、その特徴に応じたタイミングや理由を見出すことで、より楽しく、そして賢明なものになります。この機会に、日清食品を含め、様々な企業について深く考察してみてはいかがでしょうか。


つばめ投資顧問は、本格的に長期投資に取り組みたいあなたに役立つ情報を発信しています。まずは無料メールマガジンにご登録ください。またYouTubeでも企業分析ほか有益な情報を配信中です。ご興味をお持ちの方はぜひチャンネル登録して動画をご視聴ください。

※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。

【関連】100億円投資家・井村俊哉さんのファンドに乗っかるべきか?運用方針と6つのリスクを解説=栫井駿介

image by: Photo Agency / Shutterstock.com
1 2 3

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年8月28日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問

[無料 ほぼ 平日刊]
【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー