fbpx

株価底打ち?「オリエンタルランド」いまが買いの好機か。業績好調の要因、長期投資家が注視すべきリスクとは=佐々木悠

通期予想が「増収減益」である理由:コスト増加の懸念

第1四半期が過去最高であったにもかかわらず、通期予想が「増収減益」とされているのはなぜでしょうか? その理由は、今後のコスト増加が大きく見込まれているためです。

  • 人件費の増加
  • 正社員の人件費増加が影響しています。

  • 飲食原価・商品原価の増加
  • 食材や商品の仕入れコストが上昇しています。

  • 諸経費の増加
  • これが最も大きい要因で、多岐にわたります。
    ・メンテナンス費の増加(新しいアトラクションやエリアが増えることで、維持管理にかかる費用が増大)
    ・エンターテイメント関連費用の増加
    ・研究開発費の増加
    ・システム関連費用の増加

特に「2025年の一過性のコスト」として計上されている約150億円の費用は、メンテナンスやエンターテイメント費、システム関連費用、販売促進費、研究開発費など、多岐にわたる項目が含まれています。これらは、ファンタジースプリングスの維持費用に加え、将来の新しいアトラクションやエリア開発に向けた研究開発投資としての側面も持ち合わせています。

このコスト増加は、第1四半期ではまだ十分に計上されておらず、第2四半期以降に本格的に発生すると予想されています。そのため、通期では営業利益が伸び悩む、あるいは減少するという見込みが立てられているのです。

中期的なリスク:日本の「猛暑」問題

オリエンタルランドの業績を考える上で、無視できないのが日本の夏の「猛暑」がもたらすリスクです。

昨年(2025年3月期)の第2四半期(2024年7月~9月)は、猛暑の影響で来園者数が大幅に減少し、業績を大きく落としました。
今後も日本の夏が涼しくなることは考えにくく、屋外に多くの資産を持つオリエンタルランドにとって、猛暑への対応は中長期的な課題となります。

実際のパークの状況を見ても、Instagramの混雑情報アカウントなどでは、「猛暑でディズニーシー開園過酷すぎ」といった、ディズニーランドの来園者数が少ないという情報が見られます。第1四半期でも雨の日の増加が来園者数のマイナス要因となったと言及されており、天候の影響は大きいことが分かります。

オリエンタルランドも暑さ対策として、給水スポットの設置、ペットボトル自販機、水飲み場、かき氷の販売、日陰スポットの整備、冷感タオルや冷たい水のプレゼントなどを行っていますが、これらが「焼け石に水」であり、暑くても行こうと思わせるほどの効果はないというのが正直な見方です。

そこで、同社は「若年層」をターゲットにしたマーケティング活動も行っています。人気アーティスト「Mrs. GREEN APPLE」とのコラボレーションは、一部のディズニーファンから賛否両論あるものの、「暑くてもまだ大丈夫だろう」という若年層の集客を目指す意図があります。

今後、特に第2四半期(7月~9月)における猛暑が来園者数にどれだけ影響を与えるかは、今後の業績を占う上で非常に重要なポイントとなります。

オリエンタルランドの長期的な成長戦略:積極的な開発と単価向上

中長期的な視点で見ると、オリエンタルランドの成長戦略は「積極的な開発投資」と「顧客単価の向上」に集約されます。

<継続的なパーク開発>

  • ファンタジースプリングス稼働に続き、ディズニーランドでは「シュガー・ラッシュ」の世界を舞台にしたアトラクションが建設中です。
  • 2027年にはスペース・マウンテンのリニューアルも控えています。
  • さらに、クルーズ事業の開始など、舞浜周辺のディズニーリゾート全体で新たな話題を作り続ける方針です。
  • これらの開発投資は、一時的なコストと位置づけられがちですが、実際には常に新しいアトラクションやエリアを建設・開発していく必要があるため、今後も恒常的なコスト増加が続く可能性があります。

Next: 優待目当ての個人投資家が多数?長期戦略を分析すると…

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー