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株価急騰「アドバンテスト」は買いか?NVIDIA関連銘柄のリスクと成長性を長期投資のプロが徹底分析=元村浩之

NVIDIAとの強固な関係:ほぼ独占に近い領域

アドバンテストとNVIDIAの間には非常に強固な関係性があります。

AIサーバー向けAIチップの主要部品であるNVIDIAのGPUのテストにおいて、アドバンテストはほぼ独占に近い状況でテスト装置を提供しています。

この取引関係は、NVIDIAが創業された1990年代から続いており、長期間にわたる協力関係がアドバンテストの優位性を確立しています。

<競合他社との違い>

半導体の電気テストを行う会社はアドバンテストの他にテラダイン(Teradyne)という会社もあり、この2社で市場の大半を占めています。

しかし、テラダインはSOCの中でも主にスマホ向けのチップテストを得意とするのに対し、アドバンテストはAIチップ向けのより複雑なテストに強みを持っています。

AIチップの複雑性がアドバンテストの優位性を生む

なぜアドバンテストだけがNVIDIAのAIチップのテストをほぼ独占できるのでしょうか。それはAIチップの構造の複雑性に起因します。

<AIチップの構造的特徴>

AI(特に大規模言語モデルの学習)は、大量の計算を同時並行的にこなす特性があります。

AIチップは、GPU(計算を担う頭脳)とHBM(特殊なメモリ)が組み合わさった構造をしています。

このGPUとHBMの間では大量の情報をやり取りする必要があるため、基盤を通して何千本もの配線が張り巡らされています。これはスマホ向けのチップでは見られない、AIチップ特有の複雑な特徴です。

<テスト装置への要求>

この複雑なAIチップをテストするためには、以下の性能が不可欠です。

  1. 何千本もの配線が全て機能するかをチェックすること。
  2. そのチェックを同時に、かつ高速で実行できること。

この要求を満たすテスターが、アドバンテストのV93000シリーズなどのテスト装置であり、競合他社にはできない領域とされています。NVIDIAは、この高度なテスト能力を持つアドバンテストを指名している状況です。

NVIDIA関連の売上と利益貢献度

アドバンテストのSOCテストシステムの売上高のうち、約3割から4割がNVIDIA向けだとされています。

このNVIDIA向け売上は、以下の段階で使用されるテストシステムを含みます。

  1. 開発段階:
  2. NVIDIAが新しいAIチップを開発する際に使用されるテスター。

  3. 最終チェック段階(OSAT):
  4. NVIDIAが設計したチップをパッケージングする工程(OSAT:半導体後工程)で、最終的にチップが正常に駆動するかをテストするために使用されるテスター。

<利益への貢献>

売上高比率で見ると3〜4割ですが、NVIDIA向けの製品は高性能・高単価であるため、おそらく粗利や営業利益における貢献度は、売上高比率を遥かに上回ると考えられます。アドバンテストの最近の業績の伸びは、NVIDIA関連の利益率の高さによって加速されていると推測されます。

Next: アドバンテストは買いか?直面する潜在的なネガティブリスク

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