今後の成長ポテンシャル:複雑化するチップが追い風に
アドバンテストは今後もNVIDIAを中心としたAIチップ市場の発展から恩恵を受け続ける可能性が高いです。
<開発初期段階からの採用効果(ロックイン効果)>
NVIDIAが開発段階でアドバンテストのテストシステムを採用すると、最終製品が完成した後のテスト(OSATでの最終チェック)にも、同じメーカーの装置を使用する必要が生じます。これは、異なる装置でテストを行うと不具合が生じる傾向があるためです。この「ロックイン効果」により、アドバンテストは継続的に受注を得ることができます。
<高性能化に伴う単価・台数の増加>
AIモデルの発展に伴い、NVIDIAは次世代、次々世代と、より高性能なAIチップ(例:ブラックウェル以降)を開発しています。
- チップの複雑化:
- テスト装置の高度化:
- 利益率の向上:
- 台数の増加:
高性能化するほど、GPUとメモリ間の配線の数が増え、特殊メモリの数自体も増えていきます。
チップが複雑になるほど、それをテストするためのテストシステムもさらに高機能なアップデートが必要になります。
高機能なシステムは高単価であり、利益率も高くなることが予想されます。
チップが複雑になると、最終製品のテストにかかるテスト時間も長くなります。テスト時間がボトルネックとなり出荷が滞らないようにするため、結果的に導入するテストシステムの台数自体も増やす必要が出てきます。
このように、AIチップの高性能化が進むほど、アドバンテストにはより高単価で高性能なテストシステムを数多く出荷する機会が増えていきます。
アドバンテストが直面する潜在的なネガティブリスク
業績は絶好調ですが、アドバンテストにはいくつかのネガティブなリスク要因が存在します。
<AIチップの用途細分化と競合の台頭>
今後、AIチップは用途によって細分化される可能性があります。
特に”計算量が少ない用途”に関しては、NVIDIAの高性能なGPUやAIチップがオーバースペックとなる場合が出てきます。
その場合、CPUやASIC(特定用途向け集積回路)など、より限定的な用途にカスタマイズされたチップで事足りる可能性があります。
もしそうなれば、競合であるテラダインのテストシステムで十分という話になる可能性も否定できません。
ただし、大規模言語モデルを賢くするための「学習(トレーニング)」においては、大量の情報を同時並行で処理できるGPUが不可欠です。NVIDIAの「CUDA」という開発プラットフォームが事実上のデファクトスタンダードになっている限り、学習用GPUの需要は底堅く、アドバンテストへの恩恵も続くと考えられます。