協立情報通信<3670>は、中堅・中小企業および公共・自治体向けに、経営情報システムと通信ネットワークインフラを軸としたICTソリューションを提供するソリューション事業と、ドコモショップの代理運営を通じて個人・法人向けにモバイル販売・サービスを行うモバイル事業を展開する情報通信サービス企業である。PBXやネットワークといった情報インフラ、奉行シリーズをはじめとする業務系ソフトウェア、クラウドサービスに加え、それらの活用教育や運用支援までを一体で提供する点が特徴で、単一商材の販売にとどまらない伴走型のビジネスモデルを志向している。
ソリューション事業は、経営情報ソリューション・情報通信システムソリューション・教育サービスの3分野で構成されている。経営情報ソリューションは、会計を中心に販売仕入・人事労務などの経営情報の基盤を強化することを目的として、主にオービックビジネスコンサルタントの「奉行シリーズ」をベースとした基幹業務システムの構築ならびに、カスタマイズ等を行なっている。制度改正や法改正などにも迅速に対応した、運用サポートも実施している。情報通信システムソリューションでは、企業活動の活性化を目的として、通信インフラ(PBXシステム)やPC-LAN等の情報インフラの構築・保守・運用サービスならびに、スマートフォンやコラボレーションツールなどの情報の利活用を創造する連携ソリューションサービスを提供している。教育サービスでは、継続的な育成支援を目的として、先進のITツールの機能操作教育をはじめ、業務に活かせる実践的かつ、時流に対応した講座を提供し、人材の情報活用能力の向上に尽力している。創業期から長年の関係性を築いてきた強固な顧客基盤に加え、広告やイベント・セミナー活動のほか、メーカーやパートナーからの紹介、既存顧客からの紹介など、獲得経路が多様化している点も安定した受注につながっている。
モバイル事業は、法人サービスと店舗運営で構成されている。法人サービスでは、法人企業へNTTドコモのスマートフォン、携帯電話の販売、サービスの契約取次などを個別訪問サービスにて行なっている。また、スマートフォン、タブレットを軸に、ソリューション事業と連携を図り、顧客企業にモバイルソリューションサービスを提供している。店舗運営では、東京都、埼玉県に5店舗のドコモショップを運営し、個人顧客向けにサービスを提供している。
2026年3月期第2四半期累計業績は、売上高2,376百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益252百万円(同2.8倍)で大幅な増益で着地した。ソリューション事業が大幅に収益を伸長させるとともに、モバイル事業は売上高ほぼ横ばいながら、粗利が大幅に増加。ソリューション事業では、業務システムのクラウド化の促進やモバイル事業との連携によるサービス拡大を推進。営業活動は概ね好調で、案件受注高は前年同期比64.7%増と大幅に伸長するとともに、受注残は同27.6%増と積み上げも順調となっている。モバイル事業においては、物販による収益に加え、インセンティブやストック収益の獲得にも注力したようだ。法人アカウント回線数・企業数とも増加傾向で、2023年9月を基準として毎年約7%程度ずつ伸長している。
12月17日に通期計画予想を上方修正しており、売上高は5,000百万円(前期比11.7%増)据え置き、営業利益は従来計画360百万円から440百万円(同47.7%増)に引き上げた。PCインフラやPBX、奉行クラウドなどの更新需要の取り込み、部門間連携によるクロスセルの強化などにより、収益性が向上傾向にあるようだ。上半期までの状況から上振れ期待はあったとみられるが、年間配当金も従来計画の55円から65円に引き上げている。
来期以降について同社は、無理な非連続成長を狙うのではなく、現在のビジネスモデルを延長線上で深化させ、顧客基盤と社内体制の根固めを進める方針としている。継続収益の積み上げが今後の成長の肝になるとの認識を示しており、クラウドサービスや運用支援を通じたストック収益の拡大が中長期の安定成長を支える見通しである。ソリューション事業とモバイル事業のサービスを利用する顧客(クロスチャネル顧客)数の割合は、微増で推移しており、2026年9月には15%(前期12.2%)を目指すようだ。
株主還元では、株主に対する利益還元を経営の重要施策の一つとして認識し、継続的、安定的かつ、業績連動による適正な配当を行うことを基本方針としている。配当水準は、配当性向30-40%程度を目途に、業績連動による適正な配当とともに業績悪化時も一定水準を維持していく方針。財務面では一定のキャッシュ余力を確保しており、成長投資と株主還元のバランスを意識して取り組んでいく。
総じて、協立情報通信はSMB向けICT市場において「伴走型ワンストップ」という明確な立ち位置を築いており、構造的なDX需要を背景に、派手さはないものの着実な成長が期待される企業となる。今後もパートナーとの信頼関係に基づき、顧客へのさらなる貢献に努め、「経営情報ソリューション」を通じて企業のDX化に貢献すべく日々取り組んでいく同社の動向に注目しておきたい。
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