『鬼滅の刃』とヒット作がもたらす巨大な利益
昨年、特に調子が良かったのが音楽部門ですが、その原動力となったのは皆様もよくご存知の『鬼滅の刃』です。
実はアニメ制作を手掛けるアニプレックスはソニーの子会社であり、音楽部門のセグメントに含まれています。
昨年の映画興行収入でダントツの1位を記録した『鬼滅の刃』に加え、実は第2位を記録した国宝』についても、アニプレックスが映画製作の一部を担っています。
つまり、日本の映画市場におけるツートップがソニーの手によるものであったことが、第2四半期時点での1,000億円もの営業利益上方修正へと繋がったわけです。
2026年度に見込まれる「鬼滅ロス」の懸念
しかし、投資家として冷静に考えなければならないのは「次のヒットはいつ出るのか」という点です。
『鬼滅の刃』のような特大ヒットは毎年出るものではありません。
続編の噂はありますが、少なくとも2026年度中に関しては目立った映画の公開予定がないという声もあります。
特大ヒットによる増益の反動は、翌年の減益リスクとして重くのしかかります。
今の好業績が「ヒット作に依存した一時的なもの」ではないかという疑念が、投資家を慎重にさせている大きな要因と言えるでしょう。
イメージング&センシング・ソリューション「先買い需要」の反動
ソニーのもう一つの強みが「イメージング&センシング・ソリューション」、いわゆるCMOSセンサーです。
かつて表舞台で名前を売っていたテレビやPCは他国に譲りましたが、スマホやカメラの裏側で使われるセンサーという「半導体の裏方」で、日本企業としての強みを発揮しています。
ただし、この分野にも懸念材料があります。
2025年の好調の裏には、追加関税などの影響を恐れた顧客による「前倒しでの部品取り込み(先買い)」があった可能性が指摘されています。
もしそうであれば、顧客側の在庫が積み上がっているため、来期以降の需要が落ち込む「反動減」が起きるリスクがあるのです。
メモリ価格高騰とプレイステーション5の収益性への打撃
さらに、マクロ経済的な逆風も吹き始めています。
現在、AIデータセンター向けの需要が爆発しており、メモリの価格が異常なまでに上昇しています。
これはソニーの主力製品であるプレイステーション5の製造コストに直結します。
同じものを作るにしても、原価が上がればそれだけ利益は削られてしまいます。
ソニーの利益の中で最も大きな割合を占めるのがゲーム事業であることを考えると、このコスト増による利益圧迫は決して無視できないインパクトを持ちます。