第4ラウンド「米国 VS 中国」に向けて動く世界各国
覇権国は、常に挑戦国からの攻撃にさらされます。今度は、去年頃から中国が、米国に戦いを挑み始めました。
今、世界の国々は米国につくか中国につくかで揺れています。
2015年に中国はAIIB(アジアインフラ銀行)をイギリス、ドイツ、フランス等ヨーロッパの主要国を含む合計57ヵ国と共に設立しました。さらに30ヵ国が追加での加盟を希望しています。
加盟していない主要国は、日本、米国、カナダの3ヵ国です。
AIIBへの参加を見送った日本は2015年、安全保障法制の改定によって米国側につくという立場を鮮明に打ち出しました。
さらに2016年7月10日の参院選挙が終わった直後から突如、改憲に向けた情報をマスコミが流し始めました。
日本国内のニュースだけを追っているとわかりにくいのですが、「米国 VS 中国」という世界の趨勢に対応して各国は動いています。
ジョージ・ソロスは中国が「ズッコケる」のを確信している
世界経済の主戦場は、「大陸や海などの物理空間」から「金融とITの情報空間」に移ってきています。
※バフェットの心変わり。なぜ賢人はIT企業への投資を決断したのか?=東条雅彦 で詳しく解説
中国がAIIBを設立して、進めようとしている「一帯一路」は大陸や海などの物理空間にフォーカスした国家戦略です。
ユーラシア大陸、ヨーロッパ大陸を結ぶ大陸シルクロードと、ヨーロッパからアフリカ、インドを結ぶ海上シルクロード。
米国は金融とITの情報空間を完全に支配しています。
中国が進める「一帯一路」は物理空間を支配する戦略で、情報空間には影響を及ぼしません。
「一帯一路」は20世紀であれば、世界の覇権を掌握できる国家戦略になっていたと思います。しかし、今となっては時代遅れの戦略です。
経済主体が「金融+IT」の情報空間に移っている21世紀の今では、「一帯一路」が完成しても、世界の覇権が取れるかどうかは疑わしい状況です。
また、中国の政治体制は今でも一党独裁を貫いています。
歴史的な経緯から、人類は「民主的」「公平」「自由」の方向へ向かって突き進んでいます。
中国の一党独裁という政治体制はこの流れに逆行しています。秩序の面でも時代遅れの可能性が高いのです。
中国がズッコケるのを見越して、ソロスは人民元を売り崩そうとしています。2016年6月、ソロスはトレーディングの現場に復帰しました。中国経済の見通しについて、相当な自信を持っているはずです。
※ついに現役復帰。ジョージ・ソロス氏が確信する中国経済崩壊のシナリオ=東条雅彦 および
勝ちパターンに入ったジョージ・ソロス「人民元売り崩し」の勝算は?=東条雅彦 で詳しく解説
去年6月12日に発生した「中国株の大暴落」からちょうど一年で、ソロスは復帰を決めました。上海総合指数は去年6月12日につけた5166が天井で今でも下落相場が続いており、約40%ダウンの3000前後で推移しています。
通常、バブルが崩壊しても、政府や企業は「大丈夫、大丈夫」と言い続けて、その間、それを信じた人が株や不動産を買い支えます。
そのため、余計に傷口が深くなり、いよいよ行き詰ってしまい、実体経済はある一定のタイムラグ(1~5年)を経て崩壊します。
このタイムラグの期間を見極めるのに経験の浅い部下では難しいとソロスは判断して、自ら出陣したのです。