今までアベノミクスを利用して儲けてきた海外勢も、さすがに「賞味期限切れ」を理解して日本全面買いの方針を転換してきました。日経平均は底値を試す展開もありそうです。(『らぽーる・マガジン』)
※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2016年8月8日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
外国人投資家が家に帰れば、賑やかだったパーティもお開きになる
国際通貨基金(IMF)がアベノミクスにダメ出し
アベノミクスに対する海外の評価は、厳しいものがあります。
日本の経済政策に関する報告を公表したIMFは、アベノミクスについて、当初の成功は評価するものの、経済成長の弱さや根強いデフレ、国の借金が多額に上っていること、日銀が国債などを大量に買い入れていることなどを踏まえ、国の財政政策や日銀の金融政策の余地は限られているとしています。
このため、大胆な構造改革によるアベノミクスの改善が必要だとして、企業に対して賃金の引き上げを促すような政策の導入や、正社員と非正規労働者の格差をなくすための同一労働同一賃金の実現といった労働市場の改革を求めました。
そのうえで、長期的な課題として財政健全化の達成を挙げ、消費税について、少なくとも15%まで毎年0.5%から1%の幅で段階的に引き上げるとともに、社会保障費を抑えることが必要だとしています。
最初から「実態のない空気」だった
私たちは、アベノミクスの本質を理解すべきです。そもそもアベノミクスという言葉はマスコミが作り上げたもので、その実態は完全に流れに乗った空気のようなものです。アベノミクスは、実態があってないようなものなのです。
それゆえ、アベノミクスを見て投資をしたり、景気を判断するのはナンセンスなのです。
欧米の歴史的な、かつてない大規模の量的緩和(米QEや欧LTRO)により、資金の流れがリスク資産に流れ始めたところに誕生したのが安倍政権でした。
欧米中央銀行が市場の債券および債権を買うことで、金融機関が安全に国債を買うことができるようになり、国が市場を支えてくれる土壌を作ったことで、投資家が安心してリスクをとり始めたのです。
投資家は株を買い、ユーロを買い、ドルや円を売り始めました。円安効果で日本株式市場にも買いが入ろうとしていたところに、安倍政権が誕生したわけです。
安倍政権は発足して何もしていない段階で、「デフレからの脱却」を言っただけで円安が進み、株価は急上昇しました。さらに、黒田日銀総裁の「インフレ目標2年で2%」発言が円安に拍車をかけました。
この状態をマスコミが、安倍総理の名前とエコノミックス(経済学)という言葉を掛け合わせて「アベノミクス」と表現しただけの話です。
強いて言うなら、日銀の金融政策で円安と株高を盛り上げたに過ぎず、効果的な財政出動はなく、ましてや構造改革は何ひとつ実行できていません。