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都内ワンルームマンションは「バブル」なのか?アジア競合都市と比較する=田中徹郎

不動産相場がバブルか否かを計る指標

不動産相場がバブルか否かを計る指標として、「投下した資金の回収に要する期間」も挙げることができます。

例えば1000万円で物件を買って、毎年50万円の家賃をえることができたとすれば、「回収年数」は20年です。※1000万円÷50万円=20年

では、例えば以下のようなワンルームがあったとすれば、回収年数は何年になるでしょう。

  • 購入額:2000万円(諸費用込み/現金購入)
  • 家賃:月8万円、年96万円(手取り)
  • 駅徒歩7分、築15年物件、総戸数50戸、12階建て

この場合、投下した資金2000万円を回収するのに21年ほどかかる計算になります。※2000万円÷96万円≒20.83年

ただし、不動産は建物部分と土地部分に分解でき、土地部分は劣化いたしません(地価が変動しなければですが)

仮に上記の回収計算から土地代金は除外して考えると、どうでしょう。都心の築浅物件は一般的に、土地部分が40%ほど占めますので、この物件の建物部分の価値は、1200万円ほどとみてよいでしょう。価値が償却しない土地部分を除くと、初期投資の回収年数はさらに短くなり、わずか13年で初期投資額を回収できることになります。※1200万円÷96万円=12.5年

一方で、ワンルームマンションの稼働年数は一般的に60年ほどと言われます、少し短めに見積もって50年と考えるとどうでしょう。上記物件は築15年ですから、購入後35年ほどは稼働すると考えられます。仮に上記のように購入後13年で初期投資額を回収できれば、回収が終わった後の22年は、まるまる投資家の儲けになると考えてよいでしょう。※35年-13年=22年

都内の不動産はまだ「バブル」ではない

では例えば香港やシンガポールのように、収益率が2%に下がればどうでしょう

2000万円の物件価格に対して2%の収益ですから、年間の手取り収入は40万円です。東京の事例と同じく購入額2000万円、建物部分を1200万円として回収年数を計算しますと以下のようになります。

1200万円÷40万円=30年

このように初期投資の回収まで30年もかかることになります。この物件の稼働年数は35年残っていますが、そのうち30年は初期投資部分の回収期間であり、回収が終わって5年も経てば物件の稼働期間も終了です。つまり物件の償却という点を考えると、投資家の儲けはほとんどないと考えてよいでしょう。

このような観点から、やはり収益率2%の香港やシンガポールはすでにバブル的な兆候をしめしていると考えてよいでしょう。

逆に申し上げれば収益率4%の都内は、まだ正常な投資行動の対象だと考えております。

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一緒に歩もう!小富豪への道』(2016年12月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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