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緻密な情報分析で「町に血が流れる時」に買い、年利80%以上を叩き出す投資家H氏

「町に血が流れる時に買え」ロシア・ウクライナ国債でハイリターンを狙う

昨年から今年にかけてのウクライナ危機では、地政学的リスクの高まりや欧米諸国の経済制裁によりルーブル安・原油安が進行し、ロシア国債の格下げが相次いだ。

こういう局面では年金や投信が先を争って投げる。ここが大切な点だ。運用者にとっては所詮他人のカネである。たとえギリギリ投資適格であっても、格下げされるようなモノをなぜ保有するのか、その答えに窮し、面倒はゴメンだとばかりに投げてしまうことが多い。

Timofeev Sergey / Shutterstock.com

Timofeev Sergey / Shutterstock.com

そこで中小証券の債券部員に頼んで、投げ物を拾ってもらうのがHさんと私の常套手段だ。その結果は以下のようになった。手数料込みの数値である。

  • 買付:債券単価87.50で20万ルーブル買い = 3,377万円(1ルーブル1.93円)
  • 売却:債券単価90.25で20万ルーブル売り = 4,241万円(1ルーブル2.35円)
  • 利益:864万円

利益864万円 ÷ 買付3,377万円 ≒ 25%。昨年末に買い、正味4ヶ月での成果だから年率換算で75%超のリターンとなった。私は株でも債券でもこのくらいで回れば利益確定する。

2年後の償還まで待てば100.00で戻る筈だし、ルーブルにしてもプーチン時代は長く4円台で推移してきた。上手くいけばさらなるリターンが見込めるが、「明日の100円より今日の30円」が筆者の流儀である。

プーチンンがデフォルトするとは思っていないが、彼が暗殺されるなど不測の事態は常に警戒している。「想定外のことを想定すべし」が投機の基本だからである。

ウクライナ国債を買ったのも、ロシア国債と同じ発想だ。

CC格に格下げされた投資不適格のウクライナ国債はまさに「町に血が流れているときに買え」の投資格言にぴったりの状況であった。

「ドイツ市場に上場しているウクライナ国債が、2年先の夏に配当金込み119ドルで償還される予定だ」

皆がこぞって投げている最中に、某社の債券部のハシコい男が100円額面のウクライナ国債を61円で買ってきて、Hさんに話を持ちかけた。Hさんと私は、それに1円の手数料を乗せ、62ドルで分けてもらった。

再来年に配当込み119ドルで償還ということは約2年で2倍弱、年利87%超になる勘定だ。これはドル円相場が不変と仮定しての試算だから、円安が進行すればさらに大きなリターンが見込める。

もちろんデフォルトのリスクはある。とは言えこれは「事前に算出できない不確定性」ではなく「予測できるリスク」にすぎない。

あのプーチンが、自国の子分だと思っているウクライナをデフォルトさせるとは考えにくい。彼はソビエト再興をさえ志向する大ロシア主義者であり、償還延期くらいの手は打つかもしれないが、それでも「2年で2倍」の賭けなら充分ではないか。これがHさんと筆者の見込みの一つだ。

もう一つの見込みは、米国がウクライナ国債を大量に持っているという事実だ。米国は米国の事情によりウクライナを支援する。IMFは今後償還を迎えるウクライナ国債約5兆円のうち4.6兆円までは償還可能としている。

万一デフォルトしたらどうなるか?過去の様々な事例を見るに、海外保有者に対しては60~70%を償還する可能性が高いだろう。こちらは最初から額面の62%で買っているから、大したリスクはないわけだ。

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