【イタリア】BREXITの裏で進行したイギリス経済の悪化
日経新聞は先月31日、「イタリア国債 売り再燃」と題する記事を掲載しました。イタリアの10年物国債利回りは約1年半ぶりの高水準に上昇しました。これは前の週にイタリア憲法裁判所が示した判断を機に、選挙制度改正と早期の総選挙実施が意識され始めたことを受けたものです。
30日にはイタリアの銀行最大手ウニクレディトが、2016年末の自己資本比率が欧州中央銀行の要求を満たさない可能性があると発表しており、次の政治リスクの震源地はイタリアになりそうです。
これはまさに、トランプ旋風、BREXIT、フランス選挙などと言っているときに、実はイタリアで問題が進行していたということです。イタリアでは金融機関1位と3位が非常におかしなことになり、今までは3位の銀行が騒がれていたわけですが、イタリア最大のウニクレディトもおかしいとなり、国債の売りにつながったのです。
リスクとしてイタリア国債を売り抜けることに走り始めているわけで、この時点でドイツがもう少し安定していれば良いのですが、ドイツでもドイツ銀行がヨーロッパ最大のリスクになってしまっているという状況です。支えるものがなくなってしまっているわけです。アメリカに気をとられている間に、ヨーロッパの方がイタリアから崩れ始めているのです。
以前はギリシャでしたが、ギリシャが崩れてもたかが知れています。ギリシャとイタリアではオーダーの桁が変わるのです。そしてスペインやポルトガルも似たような状況となってきて、ヨーロッパがずるずると崩れてしまう可能性がドバイ危機の頃からありました。
それが今ここにきて再び、10年債利回りが急激に上昇して問題が再燃してきているのです。不良債権比率ではイタリアは欧州主要国の中で第5位ですが、その他の上位の国の規模はたかが知れています。イタリアはやはり大国なので不良債権比率が15%は大き過ぎるのです。
『グローバルマネー・ジャーナル』(2017年2月8日号)より抜粋
※記事タイトル、太字はMONEY VOICE編集部による
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