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なぜ給料は上がらない? 安倍政権が主張する「雇用改善」の嘘と本当=三橋貴明

失業者が減っても増えない延総実労働時間

13年以降の日本で、何が起きていたのか。要するに、「短時間労働」つまりはパートタイマーへの切り替えである。

フルタイムで働いていた「労働時間が長い」団塊の世代が退職し、企業は不足するヒトをパートタイマーでカバーしていったのだ(引退した団塊の世代が、短時間労働で再雇用されるというケースも多いだろう)。

結果的に、就業者数は確かに増えたが、延総実労働時間はほとんど変わっていないという現象が発生したのである。

安倍政権の雇用改善は「ワークシェアリング」の結果

要するに、第二次安倍政権発足後の日本の雇用改善は、フルタイム労働者からパートタイマーへの切り替え、一種のワークシェアリングによりもたらされたことが分かる。

実質賃金が上がらないはずだ。

企業が雇用を給与が高いフルタイムから、安いパートタイマーに切り替えた以上、生産者1人当たりの名目賃金は伸び悩み、実質賃金も下落が続いた(消費税増税という強制的な物価上昇もあったが)。

決してうまくいっていない「経済政策」

というわけで、せめて延総実労働時間がリーマンショック前に戻らない限り、安倍政権下で「経済政策がうまくいった」とは、とてもではないが断言できないのだ。

とはいえ、政権や与党、マスコミなどは、「総雇用者数」のみに注目し、安倍政権の経済政策を肯定しようとする。

これでは、問題を正しく認識することができない。問題を正しく認識することなしに、正しい解決策を講じることは、神様にも不可能だ。

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「指標」の中身をきちんと理解し、ブレイクダウン(細分化)や相対化を行わない限り、現実は理解できない。

「安倍政権で雇用は改善している」というレトリックは、実に典型的なケーススタディだ。

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週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~』(2017年10月21日号)より一部抜粋
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