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【新春展望】2018年金融市場は「ビットコイン」と「日銀」が波乱要因に=近藤駿介

ビットコインはなぜ昨年11月から上昇したのか?

注目すべきは、ビットコイン価格の上昇が勢いを増していったのが11月からであったという「時期」の要素だ。

ある市場をバブルであるというためには、そのタイミングで一時的な資金が市場に流入し価格を押し上げる必然性が存在したことを論理的に説明できなければならない。巷の「価格が割高に買われるのがバブルだ」という主張に欠けているのは、なぜその時期にバブルが発生し、そして崩壊したかという時期的な説明がないからである。

さて、ビットコインが上昇基調を速めたのは11月に入ってからで、同じ時期に米国株式市場も上昇基調を強めはじめている。では、なぜ11月から米国株式市場やビットコインは上昇基調を強めたのだろうか。

こうした市場の動きを演出した「陰の功労者」はトランプ大統領である。トランプ大統領誕生以降、米国株式市場は次から次に現れる悪材料にも関わらず上昇基調を崩さず、NYダウはクリスマスを控えた22日時点までで昨年末比25%強上昇してきている。

政権にまつわるスキャンダルも多く支持率も低迷し、地政学リスクを煽っているかのような言動を繰り返すトランプ大統領の姿勢は、本来「政治の安定」を望む市場から歓迎されるものではなく、投資経験豊富な投資家にとって「空売り」の採用は理に適った戦略であった。

しかし、こうした投資経験豊富な投資家が採用した「空売り戦略」は、トランプ大統領誕生という「悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち」続けた株式市場には通用しなかった。その結果「空売り戦略」を採用した投資家の一部は、市場からの退場を余儀なくされることになった。

ヘッジファンドの敗戦処理と「最後の賭け」

「空売り戦略」を採用するヘッジファンドの多くは11月から12月に決算を迎える。従って、市場からの退場圧力を受けているヘッジファンドは、それまでに保有資産の現金化を迫られることになる。その過程で「空売り」されていた銘柄、株価指数には上昇圧力が加わることになる。

11月に入り米国株式市場が上昇基調を強めてきたのも、こうした「空売り戦略」を採用してきたヘッジファンドによる敗戦処理があったからだと考えると筋が通る。

その一方、「空売り戦略」を採用してきた投資経験豊富なヘッジファンドは、単純に損失を確定していくほどお人好しな投資家ではない。決算までの短い期間で少しでも損失を取り戻そうと考えるのが普通である。

決算までの短い期間内で損失を少しでもカバーすることを目論んでいた投資家が、12月からCBOE(シカゴ・オプション取引所)とCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)で先物取引がスタートすることで注目を集めていたビットコインに目を付けるのは自然な流れだ。

ビットコインが11月から騰勢を強めたのは、トランプラリーによって市場から退場圧力を受け敗戦処理を迫られた投資家が、短期間で損失を埋め合わせられる可能性に賭けて参入したからだといえる。

Next: 最も傷付くのは日本。ビットコイン先物の低調が示唆するリスク

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